さよならスペースシャトル アトランティス号が帰還
【2011年7月22日 JAXA/NASA】
スペースシャトル最後のミッションとなったSTS-135の4名のクルーを乗せた「アトランティス号」が、7月21日午前5時57分(米東部夏時間。日本時間同日午後6時57分)、米・フロリダ州のケネディ宇宙センターに無事帰還した。1981年に始まった30年におよぶスペースシャトルの歴史が幕を閉じた。
悪天候が心配される中、予定通り7月8日(米東部夏時間)に打ち上げられた「アトランティス号」は、その2日後に国際宇宙ステーション(ISS)とドッキングした。
4名のクルーが参加した今回のミッションでは、宇宙ロボットによる衛星への燃料補給を試験的に実施するRRM実験装置の取り付け、故障したポンプモジュールを回収する船外活動などが行われた。
「アトランティス号」の33回目の着陸とともに、30年間で135回の飛行を行ったスペースシャトルの時代は終わりを告げた。1986年の「チャレンジャー号」と2003年の「コロンビア号」の2度の事故で14名の命が失われた悲劇はアメリカ国民や世界中の宇宙ファンの記憶から消えることはないだろう。同時に、ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げやメンテナンス、国際宇宙ステーション(ISS)の建設といった成果も未来に残りつづける。
また、初の往還機として多くの人々の宇宙への夢をかきたてた意義も大きい。今回のミッションコマンダー、クリス・ファーガソン宇宙飛行士はクルーを代表して「シャトルに関わってきた人達や、シャトルのことを知って憧れを抱いた人達すべての気持ちも一緒に運ぶというつもりでこのミッションに参加していました」と述べた。
日本人宇宙飛行士でスペースシャトルに乗船したのは、毛利衛さん、若田光一さんら7人。2010年4月の「ディスカバリー号」(STS-131)で日本人として最後のシャトル乗組員となった山崎直子さんは、「スペースシャトルから得られた知見を生かし、今後、新しい局面を迎えていく有人宇宙開発が、より身近に地球上の生活にも還元されていくよう、心より祈念しています」とコメントしている。
今後は、2016年までに民間の宇宙ロケットで国際宇宙ステーションへの物資や人員の輸送開始を目指す。それまでの間は、ロシアのソユーズ宇宙船で人員や物資を、JAXAのHTV「こうのとり」やヨーロッパ宇宙機関のATVなどで物資の輸送を行うことになる。
最後の務めを終えた「アトランティス号」は、今後ケネディ宇宙センターのビジターセンターで展示される予定だ。その他のスペースシャトルも、全米の各地博物館で「スペースシャトルの時代」を後世に伝え続ける役目を担うことになっている。