超高速回転パルサーに若い「新種」

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【2011年11月4日 NASA

NASAのガンマ線天文衛星「フェルミ」の観測から、非常に明るい「ミリ秒パルサー」が発見された。平均的な同種の天体よりもかなり若いとみられており、ミリ秒パルサーが形成されるしくみの解明する手がかりが得られるかもしれない。


パルサーのイラスト

隣の恒星から物質を引き寄せ、自転がスピードアップしていく(提供:NASA's Goddard Space Flight Center)

今回の研究で新たに発見された9つのパルサー

今回の研究で新たに発見された9つのパルサーと、それぞれの自転速度(回転数/秒)および年齢。唯一のミリ秒パルサー「J1823-3021A」(緑色)の回転速度がきわだっている。クリックで拡大(提供:NASA/DOE/Fermi LAT Collaboration)

パルサーとは、大質量星が超新星爆発したあとに残る中性子星()からの電磁波放射が、その高速自転のためにまるでパルス信号のように断続的に観測されるものだ。

その中に、毎秒数百回という超高速で回転する「ミリ秒パルサー」と呼ばれる天体がある。生まれてから10億年ほど経った古いものがほとんどで、いったん自転速度が衰えたパルサーが、パートナーである普通の恒星から重力で引きこんだ物質により再び勢いを得たものと考えられている。

だが、NASAのガンマ線天文衛星「フェルミ」の観測データから、たった2500万歳という若いミリ秒パルサーが発見された。2万7000光年離れたいて座の球状星団NGC 6624に存在する「J1823-3021A」というパルサーで、1秒間に183.8回転している。球状星団から観測されるガンマ線のすべては、この若いたった1個のミリ秒パルサーから放射されている。

研究チームのPaulo Freire氏は、形成から100億年も経っている星団でこのような天体が見つかったことを、まるで「老人ホームにひびく赤ん坊の泣き声のよう」だと喩えている。

この「新種」発見によって、ミリ秒パルサーが形成されるしくみにも新たなシナリオが必要となりそうだ。

注:「中性子星」 太陽の8〜30倍程度の質量を持つ星が超新星爆発を起こしたあとにできる。スプーン1杯で数億〜数十億トンもの質量がある超高密度天体。