欧州の超大型望遠鏡、建設準備予算を承認

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【2011年12月16日 ヨーロッパ南天天文台

ヨーロッパ南天天文台(ESO)が計画を進めている次世代超大型望遠鏡(ELT)の2012年度予算がESO評議会で承認された。南米チリの建設予定地までの道路建設費用や、一部の望遠鏡用光学部品の開発費用が含まれており、2012年中ごろに最終的な承認が得られるものと期待される。


ELT完成予想図

E-ELTの完成予想図。クリックで拡大(提供:ヨーロッパ南天天文台)

12月7日、8日にヨーロッパ南天天文台(ESO)評議会が開かれ、2012年度予算が承認された。これには南米チリのセロ・アルマソネス(Cerro Armazones)に建設予定のヨーロッパ超大型望遠鏡(E-ELT)の、現地までの道路建設費用や、大気の揺らぎをキャンセルする高度な補償光学装置の初期開発費用などが含まれている。作業は2012年初頭には始められ、E-ELTプロジェクト全体についての承認は2012年中旬には得られると期待されている。

同プロジェクトはこの数か月、建設予定地であるチリ政府との合意や、予算案の10億8200万ユーロ以内で建設可能という第三者評価の獲得など、大きく前進してきた。

ESOのメンバー国は計画の推進に前向きな姿勢を見せており、追加予算の分配についても満場一致で同意してきた。チェコ共和国、スウェーデン、フィンランドについては、既に追加予算の拠出を表明しており、ドイツをはじめ他の国でも財政面でのプロジェクトの支持が表明されている。

2012年中ごろには資金面の目処が立ちESO評議会の最終的な承認が得られそうだ。このスケジュールにはブラジルがESOのメンバーに加わることも織り込まれている。

E-ELT計画はESOが引き受けた中でも最も巨大なプロジェクトだ。口径は39.3mで、完成すれば世界最大の地上の光学・赤外望遠鏡となる。運用開始は2020年代初頭を目指す。

またE-ELTとは別に、日本、米国、カナダ、中国、インドなども口径30mの次世代超大型光学赤外線望遠鏡「TMT」の建設計画を進めている。