冥王星に5番目の衛星発見
【2012年7月12日 HubbleSite】
冥王星にはカロン、ニクス、ヒドラなど4つの衛星があることが知られているが、5つ目の衛星をハッブル宇宙望遠鏡が発見した。冥王星など太陽系外縁天体を探査する探査機「ニュー・ホライズンズ」は2015年に冥王星に到着予定となっている。
「S/2012 (134340) 1」と仮符号がつけられた今回の衛星は、ハッブル宇宙望遠鏡の「広域カメラ3」で6月26日と27日、7月7日と9日に撮影された画像から見つかったものだ。10〜24km程度の不規則な形状で、他の4つと同一面上にある直径約93000kmの円軌道を公転していると見られる。
冥王星で最初に見つかった衛星は1978年にアメリカ海軍天文台で発見されたカロンで、これが最大だ。残る4つはいずれもハッブルによるもので、2005年にニクスとヒドラ、2011年にP4(仮符号)を発見している。
冥王星(直径2300km)のような小さな天体に複数の衛星があるということに研究者らは興味を抱いており、冥王星系の形成と進化の歴史を解明する手がかりとなると期待している。5つとも、数十億年前に冥王星が他の天体とぶつかった時の名残りというのが有力な説だ。
冥王星には、探査機「ニュー・ホライズンズ」が2015年7月の到着を目指して向かっているところである。銃弾程度の小さなものでも、時速5万km近くで通り過ぎる探査機にぶつかれば一大事だ。ハッブルの強力な眼を活かして、そうした危険を取り除くための監視が行われている。小さな衛星がこれだけ見つかるということは、冥王星付近には小さな粒子がたくさんあるのだろう。ハッブルで周辺の微小天体をチェックして、探査機ができるだけ安全な航路をとるようにしていくという。
ニュー・ホライズンズの探査後は、計画中のジェームズ・ウェブ宇宙望遠鏡による冥王星や衛星、また他の太陽系外縁天体の表面組成の解明が期待されている。
探査機「ニュー・ホライズンズ」の位置と航路
天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」では、ニュー・ホライズンズのほか「ボイジャー」「はやぶさ」など、主な探査機15機の設定日時における位置や航路を表示することができます。