1光年離れた星のペアスピン、その理由は?

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【2012年12月10日 University of Hawaii at Manoa

星同士のペアの中には、お互いから1光年も離れた距離で公転しているものも見つかっている。同じガスの雲から生まれたはずのこうした連星が、どのようにしてこれだけ遠ざかったのだろうか。


遠く離れた連星系の想像図

遠く離れた連星系の想像図。クリックで拡大(提供:artist's impression by Karen Teramura (UH Institute for Astronomy) with background photograph by Wei-Hao Wang)

宇宙に存在する恒星のほとんどは、重力で引き合うパートナーの星を持つ。連星と呼ばれるこうした天体のお互いの距離はさまざまで、くっついてしまいそうなほど近いものから、1光年も離れたものまである。こうした離れた連星系はどのようにして生まれたのだろうか。

米ハワイ大学マノア校天文研究所のBo Reipurthさんとフィンランド・トゥルク大学Tuorla天文台のSeppo Mikkolaさんは、コンピューターシミュレーションによる研究でそのシナリオを編み出した。

恒星は、ガスが集まった分子雲の中心部で小さくまとまった連星系として一斉に生まれる。その数が3つ以上になると、せまい領域でお互いの重力が複雑に働き、もっとも軽いものが遠くへと弾きとばされてしまう。残った2つの星がガスを材料としてどんどん成長し、軽い星をさらに強い力で“仲間外れ”にしてしまうこともあれば、完全に弾き飛ばさずに極端に遠い軌道を回るようになることもある。こうして遠く離れた連星系が形成されるという。

となれば、離れた連星系には3つの恒星が存在するはずだ。こうした連星の1つをよく見ると実は2つだった、という例は多いが、どう見ても2つだけのものもある。この場合は、上記のシナリオとは別の過程で生まれたか、あるいは2つあった星の1つが何らかの形で消えてしまったということになる。これについては、分子雲のガスによって星の公転スピードが落ち、お互いに近づいて衝突合体したという可能性が考えられている。

太陽からもっとも近い恒星、4.3光年かなたのリギルケンタウルスも離れた連星系だ。2つの近接した連星だが、4分の1光年離れたところにはもう1つの伴星、プロキシマケンタウリがある。今回のシナリオに沿うなら、数十億年前に3つの星はともに生まれ、もっとも軽いプロキシマケンタウリだけが遠く離れた軌道に追いやられたのだろう。