12光年かなたにハビタブルゾーンの惑星
【2012年12月20日 ケック天文台】
12光年かなたにあるくじら座の3等星に、5個の惑星候補が新たに見つかった。そのうち1つは地球の5倍の質量を持ち、中心星からの距離は水が液体として存在できる範囲にあるという。
ハワイのケック天文台などによる観測で惑星候補が見つかったのは、12光年かなたにある太陽と同タイプの恒星、くじら座τ(タウ)だ。5つの惑星は地球の2〜5倍の質量を持つ「スーパーアース」で、そのうち1つは液体の水が安定的に存在できる範囲(ハビタブルゾーン)にある。地球の約5倍の質量は、これまでハビタブルゾーンで見つかったものとしてはもっとも軽い。
発表者のMikko Tuomiさん(英ハートフォードシャー大学)らの国際研究チームでは、小型の系外惑星に由来する弱いシグナルを検出するための技術を開発しており、そのテスト観測中にもたらされた予想外の発見となった。
メンバーの一人、James Jenkinsさんは「恒星としてはひじょうに近くにあり、しかも明るいので、遠くない将来にこれらの惑星の大気を調べることができるかもしれません」と期待する。「こんなに近くに見つかったということは、この天の川銀河にはこうした惑星系がありふれているということを示しています」。
またSteve Vogtさんによれば、今回の発見は、ほとんどの恒星に惑星系が存在するのではという考えに沿ったものだという。「現在わかり始めているのは、複数の惑星がそれぞれ100日以下の周期で1つの恒星を回るような惑星系が多数派なのではということです。公転周期88日の水星が一番内側という太陽系は少数派なのかもしれません」。