129億年前の初期宇宙に発見、最強スターバースト銀河

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【2013年4月26日 宇宙科学研究所

まだ星形成活動が穏やかだった129億年前の宇宙に、最大級の勢いで次々と星が生まれるスターバースト銀河が見つかった。


HFLS3銀河の観測データ

(上)天体までの距離の根拠となる、HFLS3銀河の広帯域スペクトル(下)銀河の紫外線放射を示す画像(オレンジ)に、ダスト(下左)や若い星に温められた星間ガス(下右)の分布を重ねたもの。ダスト・ガスともに約1万光年に広がっていることがわかる。クリックで拡大(発表資料より。1400〜2200GHzのスペクトル…Caltechサブミリ波天文台/Z-Spec/それ以外…電波/ミリ波干渉計天文台(CALMA、PdB、JVLA)/銀河の紫外線画像…Keck Observatory)

天の川銀河には1000億個以上もの星が存在するが、それよりもずっと多くの星を含む大質量銀河もたくさんある。こうした銀河の星々は、銀河形成の初期のころに爆発的な勢いで次々と生まれた(銀河がスターバーストを起こした)と考えられている。また、宇宙の歴史において、銀河で星がもっとも活発に作られたのは今から約100億年前、つまり宇宙が始まってから約40億年近く経ってからということが明らかになってきている。

こうした中、カリフォルニア工科大学のD. A. Riechersさんや宇宙科学研究所の松原英雄さんたちをメンバーとする国際共同研究で、129億年前の宇宙においてすでに天の川銀河の2000倍以上もの勢いで星を作り出す銀河が見つかった。

りゅう座の方向に位置するこの銀河「HFLS3」に含まれる星間物質の量は太陽1000億個分、天の川銀河の40倍にもなり、まさにガスから星が作られている最中だということがわかる。また、恒星の中の核融合反応や超新星爆発で作られる重元素(水素とヘリウム以外の元素)が多く含まれることから、その時点で大量の星が生まれ、超新星爆発などで周囲に重元素がまき散らされていたことがうかがえる。

星形成活動が穏やかだったはずの宇宙初期に見つかった例外的なスターバースト銀河は、当時の星形成活動や銀河進化の歴史を探る鍵となりそうだ。