土星の環に飛び込んだ「流れ星」
【2013年4月26日 NASA】
NASAの探査機「カッシーニ」の観測で、土星の環に流星体が突入した直後の痕跡が発見された。
ちょうどこれからが見ごろの土星(【特集】土星を見よう)。その最大の特徴である環に小さな流星体が突入した痕跡が、NASAの探査機「カッシーニ」の観測から見つかった。
太陽系の惑星間空間には高速で移動する微小物質が無数に飛び交っていて、しばしば地球を含む惑星に衝突する。土星もその例外ではなく、その環に1cm〜数mほどの流星体が突入して広がる筋状の雲が画像でとらえられている。
流星体が環にぶつかり、衝突で生じた二次的な破片がさらに環への衝突を繰り返すことで塵の雲が生じる。雲を構成する粒子は環とともに土星を公転するが、土星に近い側と遠い側とでは公転速度が異なるため、時間の経過とともに雲は細長い形状に引き伸ばされる。画像中の雲の伸び具合からすると、衝突から1時間〜2、3日後の姿のようだ。ほぼ“衝突の瞬間”と言ってもよい。
「こうした小さな衝突が常に起こっていることは把握していましたが、その規模や頻度については不明でした。こんな風に筋状に伸びるかどうかもよくわかっていなかったのです」(今回の発表者、米コーネル大学のMatt Tiscarenoさん)。
この画像が撮影された2009年〜2012年は絶好の時期だった。太陽光が環の真横に近い方向から差すため(注)、雲が明るく浮かび上がってとらえやすかったのだ。
「土星の環は明るくつるっとしているので、本体よりもずっと後に形成されたのではとも言われています。それを確かめるために、(環に影響を及ぼす)このような衝突が起こる頻度を知る必要があります。これまで直接見えなかった規模の衝突が今回とらえられたことは、よい手がかりになるでしょう」(論文共著者のJeff Cuzziさん)。
注:「土星の環の傾き」 2009年夏は土星の環が地球から見てほぼ真横の角度となる時期で、いわゆる「土星の環の消失」が起こった。