天の川銀河外縁部のフレア領域にケフェイド変光星
【2014年5月20日 東京大学】
東京大学などの国際研究チームが、天の川銀河の円盤外縁部がふくらんだ「フレア領域」に5つの星が位置することをつきとめた。こうしたフレア領域の天体は、その分布や運動に影響を及ぼすダークマターを調べる手がかりとして期待される。
私たちの天の川銀河の円盤には、外側がふくらんで厚くなっている「フレア領域」と呼ばれる部分がある。銀河のほとんどの恒星や星間ガスは銀河円盤に集まっているが、このフレア領域に恒星が存在するかどうかはこれまでわかっていなかった。
松永典之さん(東京大学助教)とマイケル・フィーストさん(南アフリカ・ケープタウン大学名誉教授)らの研究チームは、南アフリカ天文台の望遠鏡を用いて、2012年にポーランド・ワルシャワ大学のチームがケフェイド変光星として報告した天体を観測した。
ケフェイド変光星は数日から数十日の周期で明るさが変動し、その変光周期と明るさから距離を測定できるという特徴がある。この性質から、5つの変光星は6〜10万光年彼方、しかも円盤から銀緯方向(銀河円盤と垂直な方向)に約3000光年以上離れた、フレア領域内の天体であることが判明した。
このフレア領域での恒星の分布と運動は未知の重力源「ダークマター」の存在に影響されるため、今後これらの天体や同じような場所にある恒星を詳しく調べることで、天の川銀河の外縁部にあるダークマターの調査につながると期待される。