エンケラドスの地表下に全球規模の海が存在

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探査機「カッシーニ」の観測により、土星の衛星エンケラドスの表面を覆う氷の地殻の下に全球的な規模の海が広がっていることが示された。

【2015年9月17日 NASANASA JPLCornell University

土星の衛星エンケラドスの南極からは水蒸気や氷が間欠的に噴き出しており、氷の地殻の下に水が存在することを示している。これまでその水は南極付近に部分的に存在すると推測されていたが、探査機「カッシーニ」による長年にわたる観測の結果、エンケラドス全球に広がる地下海があるらしいことが明らかになった。

エンケラドスの内部を示した図
エンケラドスの内部を示した図(提供:NASA/JPL-Caltech)

「これは非常に難解な問題で、数年間分の観測データとさまざまな分野にまたがる計算が必要でした。しかし、私たちはついに答えにたどり着いたのです」(コーネル大学 Peter Thomasさん)。

エンケラドスは土星を公転する際に、ふらつくような動きを見せる。研究チームはクレーターなど地形の位置について慎重に地図を作成し、エンケラドスの動きを正確に測定した。そして、エンケラドスの内部構造のモデルを様々に仮定して、その動きを調べた。

「エンケラドスの氷の地殻と核とが固く結びついている場合、ふらつきは観測結果よりもはるかに小さくなるはずです。観測結果から考えると、地殻と核との間に液体の層が全球的に存在しているに違いありません」(SETI研究所 Matthew Tiscarenoさん)。

エンケラドスの地下海が凍らない理由は謎だが、土星の重力による潮汐作用でこれまで考えられていた以上の熱が発生しているのではないかという説などが考えられている。

カッシーニは10月28日に、エンケラドスの上空わずか49kmまで接近し、間欠泉の中に飛び込むように飛行する予定だ。