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星ナビ機材セレクション

「ミード LX200R-20」

アストロアーツオンラインショップ特価
525,000円(税込)

※販売を終了しました。

星ナビ 2007年2月号

レポート/川村 晶+星ナビ編集部

2007年2月7日

新光学系はシュミカセを超えるか

今回、試用したのは口径20cmのLX200R-20(以下LX200Rとする)である。搭載されているアドバンスド リッチー クレチアンと称した光学系は、シュミカセと同様に鏡筒開口部に球面収差除去のための補正板を持ち、その補正板中央に副鏡を有する。そのため、LX200Rの鏡筒周りの外観は前モデルのLX200GPSとほとんど変更されていないようで、従来からのパーツが継続して使用されている。唯一、副鏡の取り付けと光軸調正の機構部分が変更されている程度で、鏡筒の長さもまったく同じだ。

さて、気になるのは実際の星像だ。まずは焦点内外像を見てみたが、対称性は良好な印象で、設計の優秀さとていねいに製作された光学系であることをうかがわせる。像質はシュミカセに似るが、チューブ内の迷光対策がよいためか、像のコントラストもまずまずだ。残念ながらシーイングが劣悪な季節での観望で、二重星の分離は離角約4秒角のカストルがやっとという状況だった。それでも、観望好機となりつつある土星を200倍ほどで眺めてみたところ、シンチレーションが瞬間的に落ち着く時には、土星本体の淡い模様も観察でき、惑星面の質感を楽しむことができた。

従来のシュミカセを搭載したLX200GPS-20とも並べて観望してみた。付属のプローセル26mm(77倍)での観望では、見かけ視界が60度ということもあり、視野周辺のコマ収差に若干の差異が感じられる程度だった。さらに広い見かけ視界の広いアイピースなら、LX200Rの方が明瞭に収差が抑えられていることが判ったかもしれない。また、シーイングが悪かったこともあってか、中心像では像質の決定的なアドバンテージは感じられなかった。ミードのシュミカセは、細かいマイナーチェンジが常に施されているようで、LX200GPS-20に搭載されている光学系の完成度は、ミードがシュミカセの生産を始めた頃からは比較にならないくらい上がっている。シュミカセと同様に中央遮蔽の大きな副鏡を有する光学系であることからも、中心像に関してはシュミカセに対して像質の劇的なディフィニション向上を見込めない。

LX200R 鏡筒外観

コーポレートカラーのミードブルーで塗装されたLX200Rの鏡筒外観。ファインダーは口径50mm8倍のものが付属する。副鏡を非球面化することで、球面のシュミカセよりも光軸調整の精度がよりシビアになったためか、従来のシュミカセとは構造が異なっている。コーティングは、独自のUHTC(Ultra-High Transmission Coatings)を採用。光量損失とフレアーを最低限に抑えている。

M42

M42 LX200-20直焦点(ウェッジ併用の赤道儀モード)EOS 20Da(ISO1600、露出30秒×2)
焦点距離2000mmともなると、APS-Cサイズのデジタル一眼レフカメラでは、M42も作例のような大きさに写る。EOS 20Daのライブビューでも星が踊っているのが判るほどのシーイングだったので、像のシャープさはかなりスポイルされていると思われる。