土星に20個の新衛星

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すばる望遠鏡の観測によって土星の衛星が新たに20個発見された。土星の衛星の総数は82個となり、木星の衛星数79個を上回った。

【2019年10月15日 カーネギー研究所すばる望遠鏡

米・カーネギー研究所のScott S. Sheppardさんたちの研究チームが今月、2004年から2007年に行ったすばる望遠鏡の観測から土星の衛星を新たに20個発見したと発表した。衛星の直径はいずれも約5kmだという。この発見によって、これまでに見つかった土星の衛星の数は82個(この他に3個も過去に報告されている)となり、木星の衛星数79個を上回って太陽系最多になった。

新たに発見された土星の衛星20個の軌道
新たに発見された土星の衛星20個の軌道。イヌイット群に分類される2個の順行衛星(青)、1個の順行衛星(緑)、17個の逆行衛星(赤)を示している(提供:イラスト:カーネギー研究所/土星:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute/背景星:Paolo Sartorio/Shutterstock)

土星の外周部に存在する衛星は、軌道傾斜角(土星の赤道面に対する軌道の傾き)の違いによって3つの異なるグループに分類される。

新たに発見された20個のうち3個は土星の自転と同じ向きに周回する順行衛星だ。そのうち2個は比較的土星に近いところを2年周期で回っており、約46度の軌道傾斜角を持つ「イヌイット群」に分類される。これらの衛星は、かつて遠い過去に存在したかもしれない1つの大きな母天体が破壊された破片である可能性がある。

順行衛星のうち残りの1つである「S/2004 S24」は36度の軌道傾斜角など「ガリア群」と呼ばれるグループに似た特徴を持つものの、その軌道は他の順行衛星よりもはるかに土星から遠く、約3年周期で土星を回っている。このことから、この衛星は時間の経過とともに外側に引き寄せられたか、もともと「ガリア群」に属していない可能性も考えられる。

S/2004 S24
新発見された順行衛星のうち最も遠い軌道を持つS/2004 S24(オレンジ色の線の間)の発見画像。約1時間の撮影間隔の間に、背景に写る恒星や銀河に対して動いているのがわかる(提供:Scott S. Sheppard)

公転周期3年以上の外周エリアには、土星の自転と逆向きに周回する逆行衛星が17個発見された。このうちの1つは、これまで発見された衛星では土星から最も遠いところを周回する。これらの衛星は、既知の逆行衛星に近い軌道傾斜角を持つ「北欧群」に属し、かつて存在したかもしれない母天体が破壊された破片である可能性があるという。

「これらの衛星の軌道を調べると、衛星の起源や、土星形成時の状況を明らかにすることができます。若かりしころの太陽系では、太陽はガスと塵でできた円盤に囲まれており、形成中の土星も似たような円盤に取り囲まれていたと考えられます。今回見つかった衛星が、母天体がバラバラになった後でも土星の周りを回っていられたという事実から、惑星形成過程がほぼ完了し、円盤が重要な役割を果たさなくなった後に天体の衝突活動が生じたことを示します」(Sheppardさん)。

以前Sheppardさんが発見した木星の衛星の命名コンテストの好評を受け、今回見つかった土星の衛星についても命名コンテストが実施されている。募集は今年12月6日まで。

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