無人宇宙船「オリオン」月から地球へ帰還

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月面有人探査国際プロジェクト「アルテミス計画」最初の飛行テストで、月フライバイを果たしたNASAの無人宇宙船オリオンが11日、地球に帰還してメキシコ沖の太平洋に着水した。

【2022年12月13日 NASANASA Blog

日本時間(以下同)の11月16日に打ち上げられたNASAの無人宇宙船「オリオン」は、月に接近する200万km以上の旅路を終えて大気圏へ再突入し、12月12日午前2時40分にメキシコ沖の太平洋に着水した。これにより、月面有人探査を目指す「アルテミス計画」最初の飛行テスト「アルテミスI」は完結した。

「オリオン宇宙船の着水は、アポロ17号が月に降り立った日からちょうど50年というタイミングで、アルテミスIの最後を飾りました。世界最強のロケットの打ち上げで始まり、月を周回する並外れた飛行の果てに地球へ戻ったこの飛行テストは、アルテミス世代の月探査における大きな一歩です」(NASA長官 Bill Nelsonさん)。

オリオン宇宙船のクルーモジュール
(左)パラシュートを開いて下降するオリオン宇宙船のクルーモジュール、(右)着水したクルーモジュール(提供:(左)NASA/Kim Shiflett、(右)NASA/James M. Blair)

今回のオリオン宇宙船は、有人飛行の本番時と同様、宇宙飛行士が乗る「クルーモジュール」と動力供給などを担う「サービスモジュール(ヨーロッパ宇宙機関が開発を担当)」で構成されていた。両者は一体となって月をフライバイしたあと、地球帰還直前にサービスモジュールが切り離され、クルーモジュールはおよそ大気圏再突入時の約3000度という高温に耐えて着水した。

オリオンはアメリカ海軍の揚陸艦「ポートランド」に回収されている。今後は米・ケネディ宇宙センターへ運ばれ、宇宙飛行士を模したマネキンなどの搭載物が取り出される予定だ。今回の飛行や大気圏再突入による宇宙船の内外への影響が分析され、今後のミッションに活かされる。

アルテミスIのオリオンは2回の月フライバイで最接近時には月面から約130kmまで近づいた一方、地球からは最大で約43万kmも遠ざかった。これは、人が乗り込めるように設計された宇宙船としては、1970年にアポロ13号が到達した約40万kmを上回る最遠記録となる。宇宙に滞在した時間もアポロ計画の宇宙船よりはるかに長かった。

2024年5月に予定されている「アルテミスII」ではオリオンに宇宙飛行士を載せて月周回飛行を実施する。その後、「アルテミスIII」以降で人類が再び月面に降り立つ計画だ。

地球から約43万km離れたオリオン宇宙船が撮影した月と地球
飛行13日目の11月28日に、地球から約43万kmの最遠地点に到達したオリオン宇宙船が、太陽電池パネルに取り付けられたカメラでとらえた月と地球(提供:NASA)

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