ロシアの探査機ルナ25号、月面に衝突

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ロシア・ロスコスモスは、8月11日に打ち上げられた無人月探査機「ルナ25号」が姿勢制御不能となり、予定の軌道を外れて月面に衝突したとみられることを発表した。

【2023年8月21日 ロスコスモス(1)(2)(3)(4)(5)/ロシア宇宙科学研究所(1)(2)

ロシアの無人月探査機「ルナ25号」は8月11日に打ち上げられ、16日には月周回軌道へ入った。18日の時点では、全てのシステムは正常に機能し通信も安定していて、19日に月面着陸前の軌道へ遷移するためのエンジン噴射が実施された。しかし、その運用中に探査機との通信が途絶えた。

ルナ25号が15日に撮影した自撮り写真
ルナ25号が15日に撮影した自撮り写真。(左)ミッション・エンブレムと搭載されたマニピュレーターのバケット、(中)探査機の背景に写る地球、(右)探査機と月。画像クリックで表示拡大(提供:ROSCOSMOS)

ロシア・ロスコスモスは20日、ルナ25号が制御不能に陥り、予定の軌道を外れて月面に衝突したとみられるとの分析結果を発表した。これにより、ロシア(ソ連時代含む)にとって半世紀ぶりとなる無人探査機による月探査と、史上初となる月の南極付近への軟着陸計画は失敗となった。

衝突前にルナ25号は、中性子・ガンマ線分光計(ADRON-LR)で月の砂の組成を示す強いスペクトル線を記録していた。また、PMLと呼ばれる装置には、ペルセウス座流星群のものと思われる微小天体の月面衝突が記録されていた。さらに、探査機の着陸カメラは17日に、月の南極域にあるゼーマン・クレーター(Zeeman、直径約186km)付近を撮影した。

ルナ25号が撮影したゼーマン・クレーター
(左)ルナ25号、(右)着陸カメラがとらえたゼーマン・クレーター付近の月面(提供:(左)ROSCOSMOS、(右)IKI RAS)

一方、7月に打ち上げられたインドの月探査機「チャンドラヤーン3号」は、8月5日に月周回軌道へ入り、着陸船と推進モジュールの分離に成功している。23日には月面への軟着陸に挑み、成功すれば、同国初の月面着陸と、世界初の月の南極付近への着陸となる。

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