中国の「嫦娥4号」、史上初めて月の裏側に着陸

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1月3日、中国の月探査機「嫦娥4号」が世界初となる月の裏側への軟着陸を果たした。

【2019年1月8日 中国国家航天局新華社通信

中国国家航天局は、昨年12月8日に打ち上げられた同国の探査機「嫦娥4号」が1月3日午前11時26分(日本時間)、月面の裏側の南半球にあるフォン・カルマン・クレーターに着陸したと発表した。月の裏側への軟着陸は月面探査史上初の快挙となる。

月の裏側の初画像
嫦娥4号が撮影した月の裏側。探査ローバー「玉兎2号」での調査も行われる(提供:中国国家航天局)

これまでの月周回機による探査から、月面の様子は表側と裏側で大きく異なっていることがわかっている。表側は隕石の衝突で作られたクレーターに溶岩が流れ込んでできた玄武岩の平原(月の海)が広がっているのに対し、裏側には大小さまざまなクレーターが密集している。

月の地殻については裏側の方ががはるかに厚いと推測されるが、確実な答えを得るには月面上で直接地殻を調べるほかない。8つの観測機器を搭載した嫦娥4号は、地形調査、鉱物組成や表面構造の検出、中性子線や中性原子の計測などを行うほか、低周波電波による深宇宙観測も行う。地球からの電波が届かない月の裏側は、星や銀河、そして宇宙そのものの誕生を探るのにも絶好の場所となるだろう。

月面に着陸した後に撮影された画像
嫦娥4号が着陸後に撮影した画像(提供:中国国家航天局)

嫦娥4号の通信システム
月は常に同じ面を地球に向けており、裏側は地球からは決して見えず直接通信もできない。そのため嫦娥4号と地上との通信は、あらかじめ送り込まれた中継衛星「鵲橋(じゃっきょう:「かささぎ橋」の意)が担っている。画像クリックで表示拡大(出典:Loren Roberts for The Planetary Society)