ispaceの月着陸船「レジリエンス」、民間初の月フライバイに成功
【2025年2月17日 ispace】
1月15日に打ち上げられた、ispace社の小型月面探査車「テネシアス(Tenacious)」を搭載した着陸船「レジリエンス(Resilience)」は、その2日後の17日に初回の軌道制御マヌーバによって所定の軌道へ投入され、これまでの約1か月間地球周回軌道を航行してきた。
地球周回フェーズを終えたレジリエンスは、2月15日7時43分に月表面から高度約8400kmの地点を通過し、民間企業による商業用の月着陸船としては史上初となる「月フライバイ」に成功した。
2月15日にレジリエンスが高度1万4439kmから撮影した月(提供:ispace、以下同)
月フライバイは、ispaceが目指す低エネルギー遷移軌道による深宇宙航行に移行するために重要なマイルストーンである。ispaceでは前回のミッション1で得た軌道制御の経験と実績をもとに、目標通過点に対して数十kmの範囲にレジリエンスを通過させるミッションを達成した。
この後レジリエンスは地球から110万km離れたコースを通る低エネルギー遷移軌道を使った深宇宙の航行を経て、5月初旬に月重力圏に到達して月周回軌道へ入り、5月末から6月初めごろに月面着陸へ挑む。
地球から月までのレジリエンスの軌道
レジリエンスに搭載された機器による科学観測も行われていて、18日には台湾国立中央大学の深宇宙放射線プローブ(Deep Space Radiation Probe、以下DSRP)が放射線環境の観測を開始した。DSRPは月までの途上や月周回軌道上、月面で放射線量などを測定し、そのデータは将来の深宇宙探査機に搭載される電子機器の開発や有人ミッションに役立てられる。
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