星座八十八夜 #44 大神ゼウスの化身の白い牛「おうし座」

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〈オリオン座〉のとなりにある〈おうし座〉には、都会でも肉眼で見える2つの散開星団「ヒヤデス星団」と「プレアデス星団」があります。1等星のアルデバランは「冬の大六角形」の星の一つでもあります。

【2023年12月1日 アストロアーツ

星座八十八夜

「スマホで楽しむ星空入門」より抜粋)

見どころ

〈オリオン座〉のすぐ右上に明るく輝く1等星アルデバランが〈おうし座〉の目印になっています。アルデバランが牡牛(おうし)の片目を表し、左上に2本の角が伸びています。

牡牛の背中のところで輝くプレアデス星団は、M45という番号が付けられている「メシエ天体」で、日本では「すばる」の名前で親しまれています。肉眼でも、5~6個の星が1か所にかたまっているのがわかります。見かけの大きさは、満月の3倍より少し大きいくらいです。

ヒヤデス星団はアルデバランの周りに見える星団です。ただしアルデバラン自体はこの星団の星ではなく、たまたま同じ方向に見えているだけです。

〈おうし座〉には超新星爆発を起こして死んだ星の残骸である「超新星残骸 M1」もあります。その姿がカニに似ていて、「かに星雲」という愛称で呼ばれています。

おうし座

星座の起源

牛は太古から人間にとって身近な家畜であることから、〈おうし座〉は5000年前のメソポタミアですでに星座になっていたと考えられます。ただし、最初は今とは逆の方向を向いていたのではないかといわれています。ヒヤデス星団が頭なのは同じでしたが、どうやらプレアデス星団の方へ角が伸びていたようです。そして今では角とされている星が、昔は胴体だったと考えられます。

日本では、プレアデス星団を「すばる」と呼び、言い伝えがたくさん残されています。すばるの語源には次の説があります。

●「統(す)べる」(集まる)から来た言葉。星が集まっているところから。

●「みすまるの玉」のことを「すばる」といい、この星団が玉を通した首飾りのように見えたところから。

また、この星団の和名は「すばる」の他にも様々なものが伝わっています。この星団の星が6個に見えるところから6にこだわった「六連(むづら)星」「六地蔵」。ごちゃごちゃと集まった様子から「むらがり星」「寄り合い星」「相談星」「鈴なり星」「ごちゃごちゃ星」などとも呼ばれていました。

〈おうし座〉は「黄道十二星座」の一つで、4月20日~5月20日生まれの人の誕生星座となっています。

星座の物語

ギリシア神話では、〈おうし座〉の牛にまつわる、次のような話があります。

●フェニキアの王女エウロパをさらうためにゼウスが変身した姿。牛になったゼウスはエウロパを背中に乗せて海を渡り、クレタ島へ行きました。エウロパはヨーロッパの語源になっています。

●川の神イナコスの娘イオが変身させられた姿。ゼウスはイオを愛していましたが、妻ヘラの目をごまかすためにイオを牝牛(めうし)の姿に変えました。

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