火星由来の隕石にファイアーオパール
【2015年7月13日 University of Glasgow】
英・グラスゴー大学の研究チームが、火星由来のナクラ(Nakhla)隕石に1.7gのオパールを発見した。研究チームが発見したのはオパールの中でも「ファイアーオパール」と呼ばれる赤、橙、黄色をした種類のもので、隕石中の二酸化ケイ素と火星の水が作用してできたものだという。隕石は数百年前に火星で起こった巨大衝突で表面から吹き飛ばされと考えられており、1911年にエジプトの町ナクラに落下したものだ。
英・グラスゴー大学のMartin Lee教授は「発見したファイアーオパールは小さなものですが、複数の理由から、とても意味のあることです」と重要性を語っている。
「まず、これまでの火星探査でオパールの存在が示唆されていましたが(参照:アストロアーツニュース「オパールの輝きは火星の水が長持ちした証拠」)、それを裏付けるように、火星由来の隕石内にオパールが含まれていることが初めて確認されました」。
「また、この種のオパールは地球上では、温泉の中やその周囲で作られるのですが、これは微生物が成長するような環境です。そのうえ、オパールは数百万年のスケールで、微生物をその中に留め保存できるのです。もし火星上に微生物が存在していたとすると、火星表面にあるオパールに保存されているかもしれません」。
「将来、火星のオパールを詳しく調べれば、火星の過去の環境や生命が存在していたかどうかなど、詳しい情報が得られるでしょう」。
〈参照〉
- University of Glasgow: Martian gems could point to evidence of life
〈関連リンク〉
- University of Glasgow: http://www.gla.ac.uk/
- Meteoritics & Planetary Science: Opal-A in the Nakhla meteorite: A tracer of ephemeral liquid water in the Amazonian crust of Mars 論文
〈関連ニュース〉
- 火星と生命:
- 2015/04/16 - 火星の表面近くに液体の塩水の可能性
- 2015/03/25 - 火星のサンプルから、生命活動に重要な硝酸塩の証拠
- 2014/12/17 - 火星で一時的に急増したメタンと有機分子の発見
- 2014/05/22 - 火星で棲息できる地球上生物、メタン菌
- 2014/03/03 - 火星隕石に生命活動の痕跡に似た構造
- 火星上のオパール:
- 2008/11/06 - オパールの輝きは火星の水が長持ちした証拠
関連記事
- 2024/11/26 2024年12月上旬 火星とプレセペ星団が接近
- 2024/11/14 2024年11月20日 月と火星が接近
- 2024/10/22 【特集】火星(2025年1月12日 地球最接近)
- 2024/10/17 2024年10月23日 月と火星が接近
- 2024/10/03 火星の地震波が示す、液体の水が地下に存在する可能性
- 2024/10/03 「火星のクレーター」を教室に再現!ドラマ「宙わたる教室」が10月放送開始
- 2024/09/25 太古の火星でホルムアルデヒドが有機物生成に寄与
- 2024/08/07 2024年8月中旬 火星と木星が大接近
- 2024/07/24 火星大気中の塩化水素を全球で検出
- 2024/07/11 2024年7月下旬 火星とプレアデス星団が接近
- 2024/07/08 2024年7月中旬 火星と天王星が大接近
- 2024/06/25 2024年7月2日 細い月と火星が接近
- 2024/06/17 火星の赤道地方の山頂で霜を検出
- 2024/05/27 2024年6月3日 細い月と火星が大接近
- 2024/05/17 初期火星の有機物は一酸化炭素から作られた
- 2024/04/24 2024年5月5日 火星食
- 2024/04/24 2024年5月5日 細い月と火星が接近
- 2024/04/19 2024年4月下旬 火星と海王星が大接近
- 2024/04/04 2024年4月中旬 火星と土星が大接近
- 2024/02/15 2024年2月下旬 金星と火星が大接近