土星探査機カッシーニから続々と届けられる最新画像:新リング、タイタンの南極、エンケラドスなど

【2005年3月14日 JPL News Release (1) / (2) / JPL Multimedia Images (3)

土星探査機カッシーニによる新しい画像が続々に届いている。新しいリングの発見や新たな衛星の存在が示されているほか、タイタンの地形についても、その形成プロセスが地球と同様であることなども報告されている。


土星の巨大嵐、新しいリングの発見

(近赤外線で捉えた土星の画像) (新しいリングの画像) (サイズ、画質共に最高度の土星の画像)

(上)カッシーニが近赤外線で捉えた土星、(中)新しいリング、(下)サイズ、画質共に最高度の土星。それぞれクリックで拡大(提供:NASA/JPL/Space Science Institute)

(上)鮮やかな疑似カラーに染まる土星のこの画像は、土星探査機カッシーニが近赤外線フィルタで捉えた合成画像だ。色はメタンの密度の違いによって付けられている。赤い部分は、メタンを大量に含んだ低空の雲だ。灰色は高度の高い雲を表し、茶は中間の高度にある雲である。リングが明るい青なのは、リングを作る粒子とカッシーニのカメラの間にメタンガスが存在しないためだ。

また、画像には昨年9月に南半球に現れた巨大な対流性の嵐「Dragon Storm」も捉えられている。土星の電波バーストとも関連があると考えられており、土星の謎を解く鍵として今後の分析が待たれている。

(中)今回のカッシーニによる探査では、数々の新しい発見が続いている。新しい衛星の存在を示す証拠や、間隙に今まで見られなかった新しい薄いリング(画像中、矢印で示されたもの)が発見されている。今後も新しい発見が期待される。

(下)昨年10月にカッシーニが土星から630万キロメートルの距離から撮影した画像は、今までで最大でもっとも鮮明なものとなっている。その色も、土星本来の色となっている。


地球と同じプロセスで形成されたタイタンの地形とタイタンの南極

(タイタンの地形) (タイタンの南極)

(上)地球と同様の形成プロセスを経たと考えられるタイタンの地形、(下)タイタンの南極。ともにクリックで拡大(提供:NASA/JPL/Space Science Institute)

カッシーニが2004年10月、12月に捉えた、タイタンのクローズアップ画像が公開された。土星最大の衛星タイタンの表面の大部分は、地球と同様に侵食や風、火山活動などの造形活動によって形成されたようだと専門家は話している。

「a」(左上)の画像に見られる直径30〜50km程度の円形の地形は、隕石の衝突によるものと考えられている。また、「b」(左中)画像には流線型の明るい特徴が見られるが、これはタイタンの大気にのって東から西に吹く風によって形成されたもののようだ。「c」(右上)の画像では、明るい領域に黒い物質が見られる。これは、断層作用によるものと推測されている。地球と同様に侵食作用が起こり、さらに水や風によって運ばれた物質が蓄積しているのだろう。

また、カッシーニが捉えたタイタン南極の画像も公開されている。これは、カッシーニがタイタンに初めて近づいた昨年7月に34万キロメートルの距離から捉えたものだ。南極に明るく見えているのは、タイタンの雲である。


エンケラドスの最新クローズアップ画像

(タイタンの地形)

カッシーニから届いたばかりの、エンケラドスの画像。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/Space Science Institute)

今年3月9日にカッシーニから届いたエンケラドスの画像で、エンケラドスから4万6000kmの距離から撮影されたものである。カッシーニは9日にエンケラドス上空500kmまで近づいた。エンケラドスは土星の衛星中もっとも冷たい衛星で、太陽系でもっとも明るい天体である。また、土星のE環の成因であるとも考えられている。

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