「はやぶさ」、地球から最遠に到達
【2008年6月6日 ISAS トピックス】
宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究本部(ISAS)は、5月末現在の小惑星探査機「はやぶさ」について、地球から2.5天文単位の距離に到達しており、連続的に電波を受信できる状態にあると発表した。
宇宙科学研究本部(ISAS) トピックスより
5月末現在、「はやぶさ」探査機は、太陽の向こう側、地球から距離2.5天文単位(1天文単位は地球と太陽の平均距離で約1億5000万km)に到達しました。地球から望むと、太陽の脇12度に見えるはずです。一方、「はやぶさ」からは、太陽のすぐそば8度に地球が位置します。
← 1天文単位 → ← 1.5天文単位 → 地球−−−−−−−−−−太陽−−−−−−−−−−−−−はやぶさ
1天文単位の距離を電波が走るのに約8分かかるので、2.5天文単位の位置にある「はやぶさ」と地球間の通信には、往復約40分の時間(専門用語で伝搬遅延時間)を要します。
すでにご案内しているとおり、イオンエンジン噴射を休止してスピン姿勢安定を維持しています。これまでは、スピン周期10分のうち、アンテナが地球を向いたタイミングでしか「はやぶさ」からの電波を受けることができず、間欠的な受信となっていました。しかし、前述のように地球と太陽の離角がたいへん小さくなってきたため、太陽電池に光が当たる姿勢を保ちながら、常時アンテナを地球に向けることが可能となり、今では連続的に電波を受信することができます。この状態は2009年初頭まで続く見込みです。
「はやぶさ」は、地球帰還に向けて英気を養う期間にあり、しばらくは活動のレベルをさげて健康維持に専念しています。一方地上においては、2010年に迫ったカプセル回収に向けて、準備を鋭意進めているところです。