暗い夜空で輝く貫禄のパンスターズ彗星

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【2013年5月1日 アストロアーツ】

予報どおりに暗くなってきているパンスターズ彗星(C/2011 L4)だが、北の空でひと晩中見やすい位置にある。北極星への接近や、尾が見やすくなる地球の彗星軌道面通過など、名残を惜しみつつ楽しもう。


暗い夜空で輝く大彗星の貫禄

(※)5月2日発売「星ナビ」2013年6月号(執筆:吉田誠一さん)からの抜粋です。

2013年前半の天文界の話題をさらったパンスターズ彗星も、3月10日に近日点を通過し、あとは遠ざかるのみとなった。だが最盛期から2か月が過ぎても、双眼鏡を使えばまだまだじゅうぶんに楽しめる明るさだ。去りゆく彗星の姿を、ぜひ最後まで見届けてみよう。

3月半ばには約1等級まで明るくなり、夕方の薄明の中に輝く姿を見せてくれたパンスターズ彗星。都会でも観察できたが、太陽から遠ざかるにつれて次第に暗くなってきた。春分の日を過ぎると2等級を下回り、低空では見ることが難しくなった。3月下旬には、夕方・明け方ともに地平線すれすれになってしまった。この時期は世界的にも観測が少なくなったが、特に異変が起こることもなく予報どおりに暗くなっていった。

4月に入ると明け方の北東の空に現れ、しだいに高く見えるようになってきた。アンドロメダ座大銀河とランデブーするとあって、この時期を待っていた人は多いだろう。パンスターズ彗星は、予報どおり4〜5等の明るさでアンドロメダ座大銀河の横を通り過ぎ、絶好のシャッターチャンスとなった。

最盛期の光度と比べると10分の1以下まで暗くなっていたが、暗い夜空で見る幅広いダストの尾を伸ばした立派な姿は、3月と比べても見劣りはしなかった。観測条件が良くなったため、尾の長さは最盛期とほぼ変わらず、眼視では満月の直径ほど、写真では数度ほどに伸びて見えた。もともと太陽に最接近するかなり前から豊富なダストを放出していたので、幅広く格好の良い尾を見ることができた。

今後もほぼ予報どおりに暗くなっていくだろう。それでも、本誌が発売される5月上旬にはまだ7等級の明るさで、双眼鏡であればじゅうぶんに見える。北の空を一晩中めぐる周極星となり、自分の好きな時間に見られるのも好都合だ。

5月下旬には8等級になるが、5月27日には地球がパンスターズ彗星の軌道面を通過する。この時、彗星の軌道面に広がったダストの平面を真横から見ることになり、尾が細く収束して見やすくなる。しばらくは尾を伸ばした彗星らしい姿を楽しめるだろう。

その後も、日本からはずっとパンスターズ彗星を観測できる。6月には9等級、7月には10等級、8月には11等級としだいに暗くなっていくが、太陽系の彼方に去るまで、専門家たちはこれから何年もその姿を追い続けるだろう。われわれも、できるだけ長くパンスターズ彗星との時間を楽しみたいものだ。

星ナビ2013年6月号 詳しくは星ナビ2013年6月号
(5月2日発売)「パンスターズ彗星」特集

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