星ナビ機材セレクション
「ライトブリッジ ドブソニアン 10インチDX(25cm)」
「ライトブリッジ ドブソニアン 12インチDX(30cm)」
※販売を終了しました。
星ナビ 2006年6月号
レポート/川村 晶+編集部
モデル/一星昌利
2006年6月21日
分割して運べる30cm オープントラスドブソニアン
「ミード ライトブリッジ」
ミードインストゥルメンツ社(ミックインターナショナル扱い)から、ドブソニアンのライトブリッジシリーズが発売になった。3機種がラインアップされているが、国内に供給されるのは、口径25cmと30cmの2機種(20cmは特注扱い)。いずれもトラス構造を持つ鏡筒が採用されたもので、鏡筒を分割しての輸送や収納を可能にしている。今回は、もっとも大きな口径30cmのライトブリッジ12インチDXを試用してみた。
ミードのドブ、新ラインナップ
アメリカのミードインストゥルメンツ社(以下ミード)から、新型のドブソニアンである「ライトブリッジ10インチDX」と「12インチDX」の2機種が国内発売となった。
ミード製の大口径ドブソニアンが国内で販売されるのは、「ライトブリッジ」が2シリーズ目である。1995年に口径15cmから40cmまでの「スターファインダー」シリーズ5機種が登場して以来、およそ10年ぶりのことだ。スターファインダーの発売当時は、1ドルが80円という異常なまでの円安となった頃で、口径32cmのスターファインダーの本体価格は12万円、ファインダーやアイピースとのセットでも138,000円という驚異的な低価格での発売だった。
スターファインダーシリーズの架台部は、木材を接着剤を用いて成形熱圧した「パーティクルボード」と呼ばれる化粧合板製で、鏡筒には「ボイド管」と呼ばれる厚紙製の筒が利用されていた。いずれも自作でおなじみの素材だ。鏡筒は防水性のある塗料で塗装されているとはいえ、夜露に濡れる夜も少なくない日本国内では、長年の使用での耐久性にやや難がある点は否めなかった。また、主鏡はけっして薄いものではなかったが、セルはなく、合板にコーキング剤で接着するという思いきった固定方法が使われていた。
これは、低倍率でのディープスカイという基本的な大口径ドブソニアンの使い方において、実用範囲内の性能を確保しつつ、できるだけ安価に供給するという明確なスタンスの現れだった。そのため、ドブソニアンといえば、当時はまだまだ自作が主流だったが、「作るより買った方が安い」ということもあり、おおいに注目される機種となった。その後、スターファインダーシリーズが望遠鏡販売店店頭から姿を消して久しい。
新たに発売されたライトブリッジシリーズは、スターファインダーシリーズとは、同じドブソニアンというカテゴリーの天体望遠鏡だが、その外観はずいぶんと異なる印象だ。スターファインダーシリーズは、ドブソニアンという名称の由来となっているジョン・ドブソン氏考案のオリジナルに比較的忠実なスタイルといえるものだが、ライトブリッジシリーズは、細かい点で精度や耐久性が向上するような工夫がされている。
架台部分はスターファインダーと同じパーティクルボード製だが、鏡筒の主要部分はほぼ金属製である。主鏡セルも9点支持の金属製だ。それでも販売価格は、等倍のレッドドットファインダーとワイドタイプで焦点距離26mmのアイピースが付属して、口径25cmのライトブリッジ10インチDXで119,700円、口径30cmのライトブリッジ12インチDXで149,100円という手頃な設定になっている。そこで今回は、輸入され始めたばかりのライトブリッジ12インチDXを実際の星空の下に持ち出し、試用してみることにした。