2026年の3月ごろから9月ごろまで、宵の明星の金星が夕方の西の空に見えます。やや低めながら、ひときわ明るく輝く様子はとても目立ちます。
時おり細い月と並ぶ光景は、とくに美しい眺めです。また、6月上旬ごろに木星と大接近する現象なども見ものです。肉眼や双眼鏡で観望したり、写真に撮ったりしてみましょう。
目次
金星を見つけよう
宵の明星
2026年の春から秋、金星は「宵の明星」として見えます。夕方から宵のころに西の空でひときわ明るく輝いているので、建物や山に隠れていなければ、一目でそれとわかります。
日の入り45分後の高度が10度より高くなる4月上旬から8月下旬までが見やすい時期です。最も高くなるのは6月中旬ですが、日の入り45分後の高度は約20度とやや低めです(データはすべて東京の場合)。
2026年2月から9月までの、夕方(日の入り45分後)の金星の見え方。場所の設定は東京。囲み内は金星の拡大像(正立像)(ステラナビゲータでシミュレーション)。
![アストロアーツ YouTubeチャンネル [YouTube]](image/youtube.png)
形が変わる金星
地球・金星・太陽の位置関係により、金星は月のように大きく満ち欠けして見えます。また、月と異なり、金星は見かけの直径も大きく変化します。形や大きさの変化は肉眼ではわかりませんが、倍率が高めの双眼鏡や天体望遠鏡で見るとよくわかります。天体観察会などに参加して、欠けた姿をぜひ観察してみてください。
2024年12月から2025年3月までの金星(宵の明星)の見え方の変化(撮影:T-HASHIGUCHIさん)。画像クリックで表示拡大、撮影者名クリックで天体写真ギャラリー(3月撮影分)のページへ。形と直径が大きく変わる様子がわかる。
金星に関する現象カレンダー:
細い月と共演/木星や1等星と接近
およそ1か月に1回くらいの頻度で、金星と細い月が並んで見えることがあります。金星の輝きはそれだけでも美しいものですが、地球照(地球で反射した太陽光に照らされ、月の暗い側がうっすら見える現象)を伴った幻想的な細い月と金星が夕空に並ぶ光景は、さらに見事な眺めとなります。金星と月の接近は肉眼でもよく見えますが、双眼鏡があるといっそう美しさが際立って感じられることでしょう。
また、金星と木星(6月上旬~中旬)や1等星などとの接近も起こります。最接近のタイミングだけでなく、その前後の日で並び方が変化していく様子も楽しみです。
地上風景も入れた写真撮影にも、ぜひ挑戦してみてください。空の色や雲の形、街明かりの様子は刻一刻と変わっていきます。シャッターチャンスを逃さず、共演を記録してみましょう。
3月上旬の夕方、金星と土星が大接近して見える(» 解説)。最接近は8日ごろ。画像クリックで表示拡大(ステラナビゲータLiteで星図作成)。
| 日付 | 現象 | 備考 |
|---|---|---|
| 2月下旬 | 水星と接近 | 夕方 最接近28日ごろ |
| 3月上旬 | 土星と大接近 (» 解説) | 夕方 最接近8日ごろ |
| 3月20日 | 細い月(月齢1)と接近 (» 解説) | 夕方 |
| 4月19日 | 細い月(月齢2)と接近 | 夕方~宵 |
| 4月中旬 ~下旬 |
天王星と大接近 | 夕方~宵 最接近24日ごろ 約10等級差 |
| 4月下旬 | おうし座の散開星団M45プレアデス星団と接近 | 夕方~宵 最接近24日ごろ |
| 4月下旬 ~5月上旬 |
おうし座の散開星団Mel 25ヒヤデス星団と並ぶ | 夕方~宵 最接近5月1日ごろ |
| 4月下旬 ~5月上旬 |
おうし座の1等星アルデバランと並ぶ | 夕方~宵 最接近5月2日ごろ |
| 5月中旬 | おうし座の2等星エルナトと接近 | 夕方~宵 最接近13日ごろ |
| 5月18日 | 細い月(月齢2)とやや離れて並ぶ | 夕方~宵 |
| 5月19日 | 細い月(月齢3)と接近 | 夕方~宵 |
| 5月中旬 ~下旬 |
ふたご座の散開星団M35と大接近 | 夕方~宵 最接近21日ごろ |
| 5月下旬 | ふたご座の3等星メブスタと大接近 | 夕方~宵 最接近27日ごろ |
| 6月上旬 | ふたご座の1等星ポルックスと接近 | 夕方~宵 最接近8日ごろ |
| 6月上旬 ~中旬 |
木星と大接近 | 夕方~宵 最接近9日ごろ |
| 6月17日 | 細い月(月齢2)と並ぶ | 夕方~宵 |
| 6月18日 | 細い月(月齢3)とやや離れて並ぶ | 夕方~宵 北アメリカなどで金星食(日本時間5時ごろ) |
| 6月中旬 ~下旬 |
かに座の散開星団M44プレセペ星団と大接近 | 夕方~宵 最接近20日ごろ |
| 7月上旬 ~中旬 |
しし座の1等星レグルスと大接近 | 夕方~宵 最接近9日ごろ |
| 7月17日 | 細い月(月齢3)と接近 | 夕方~宵 |
| 8月15日 | 東方最大離角 | 45.9° |
| 8月16日 | 細い月(月齢4)と接近 | 夕方~宵 |
| 8月下旬 ~9月上旬 |
おとめ座の1等星スピカと大接近 | 夕方~宵 最接近9月2日ごろ |
| 9月14日 | 細い月(月齢3)と大接近 | 夕方 東ヨーロッパ、中東、インド、東南アジアなどで金星食(日本時間20時ごろ) |
| 9月19日 | 最大光度 | -4.8等級 |
| 10月 2日 | 留(りゅう) | この日を境に、天球上を東→西に動く(逆行する)ようになる |
| 10月22日 | 内合 | 太陽と同じ方向(地球と太陽の間)になる(見えない) 日付は赤道座標系(黄道座標系では24日) |
| (過去の現象) | ||
| 1月 6日 | 外合 | 太陽と同じ方向(太陽の向こう側)になる(見えない) 日付は赤道座標系(黄道座標系では7日) |
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金星に関するマメ知識
灼熱の惑星
太陽系で地球の1つ内側を公転している金星は、大きさも質量も地球によく似た惑星です。自転周期が243日と非常に長く(惑星のなかで最長)、しかも公転の方向と逆回転に自転している(惑星の中で金星と天王星のみ)という、不思議な特徴があります。
金星は二酸化炭素を主成分とする厚い大気を持ち、地表付近の大気圧が90気圧にも達します。また、温室効果で地表の温度は約470℃にもなります。
この高温高圧に加えて、金星では二酸化硫黄の雲から硫酸の雨が降っており、上空には時速400kmと自転の60倍も速い暴風(「スーパーローテーション」)が吹いています。金星は、ローマ神話の美の女神「ウェヌス(ヴィーナス)」の名を冠した惑星とは思えないほどの過酷な環境が広がっているのです。
金星探査
2010年に打ち上げられた日本の探査機「あかつき」は、2015年12月から金星を周回探査しました。6種類のカメラで大気や雲の動き、温度などを観測し、様々な画期的な研究成果を挙げました。
- JAXA:金星探査機「あかつき」(PLANET-C)
- ISAS:金星探査機「あかつき」PLANET-C
2021年6月には、NASAの「ダビンチ+」と「ベリタス」、ヨーロッパ宇宙機関の「エンビジョン」という次期の金星探査計画が相次いで発表されました。今後の研究の進展が楽しみです。
太陽系内の動き
金星は太陽系の中で地球よりも内側を公転する内惑星で、225日で太陽の周りを一周します。地球より内側なので、地球の夜側(太陽の反対方向)に見えることはなく、必ず夕方の西の空(宵の明星)か明け方の東の空(明けの明星)に見えます。
とくに、見かけ上太陽から最も離れるころには、日の入り後や日の出前の地平線からの高度が高くなり見やすくなります。金星が太陽から東に最も離れるときを「東方最大離角」といい、「日の入りのころに夕方の西の空」で見やすくなります(東方~ですが西に見えます)。反対に太陽から西に最も離れるときは「西方最大離角」で、「日の出のころに明け方の東の空」で見やすくなります。最大離角のころに金星を天体望遠鏡で観察すると、半月状に見えます。
※最大離角のころに最も高くなるとは限りません。今シーズンの場合、最大離角は8月15日ですが、日没時の高度が最も高いのは(日本付近の緯度では)6月中旬ごろになります。日没時の西方向の黄道がどのくらい傾いているかや、金星が黄道からどのくらい離れているかによります。
2026年1月から2027年1月までの、太陽系内の地球と金星の動き(ステラナビゲータでシミュレーション)。
また、地球から見て金星が太陽と同じ方向になる状態が「合」で、太陽の向こう側にあるときを「外合」、手前(太陽と地球の間)にあるときを「内合」といいます。内合の前後の金星は地球に近いので直径が大きくなり、さらに非常に細くなります(見かけ上太陽に近いので、観察にはじゅうぶん注意しましょう)。























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