まもなく極大を迎える、明るめのミラ型変光星たち
【2023年5月10日 高橋進さん】
「ミラ型変光星」は光度変化が大きく、わりと明るい星もあることから人気の変光星です。そのなかでも見やすい明るさになる、しし座R(R Leo)・オリオン座U(U Ori)・はくちょう座χ(χ Cyg)・ミラ(ο Cet)が、この5月から6月にかけて相次いで極大を迎えようとしています。
しし座R(周期312日/変光範囲4.4~11.0等)
今年の1月初めに11等の極小を過ぎた後、順調に明るくなってきています。とくに4月初めから月末にかけては毎日0.1等のペースで明るくなっていき、観測者の目を楽しませてくれました。この後、5月中旬におよそ5等の極大を迎えることと思われます(参照:「5月に極大を迎える変光星、しし座Rを見よう」)。
オリオン座U(周期377日/変光範囲4.8~13等)
昨年12月中旬に12等の極小を過ぎた後にゆっくりと明るくなっていて、この5月下旬におよそ6等の極大を迎えることと思われます。ただ、5月中旬から8月初旬はこの星の近くに太陽が来るため、非常に残念ですが極大期の観測は難しいかと思われます。夕空の中、見えるかどうかだけでもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
はくちょう座χ(周期408日/変光範囲3.3~14.2等)
昨年12月ごろに極小になったと思われますが、季節的に見づらい時期だったために明確な極小期の光度曲線は描けませんでした。その後、今年3月になり本格的に観測が始められました。ミラ型で周期の長い星では、明るくなっていく途中で一時的に増光が停滞し、光度曲線にこぶができたように見えることがよくあります。観測が始まった3月ごろの光度曲線が横ばいになっているのは、この現象と思われます。4月になると日に0.1等のハイペースで明るくなっています。
極大は6月初旬と予想されていますが、5月4日時点ですでに5.2等にまで明るくなっています。近年の極大等級はおよそ5等なので、今後さらに増光するようであれば今回はかなり明るい極大になる可能性があります。あるいは、すでに明るさのピークに近いのであれば極大日がかなり早くなるということであり、いずれにしても目が離せないところです。
ミラ(くじら座ο)(周期332日/変光範囲2~10.1等)
1月下旬に8等台後半の極小を過ぎました。今年の極大予報は6月初めですが、残念なことに太陽が近いため、毎年3月下旬から6月下旬までは観測ができません。南半球では6月でも観測されていることがありますので、海外の観測に期待したいところです。
今年の5月から6月にかけては、興味深いミラ型変光星が次々と極大を迎えます。この機会にミラ型変光星の魅力をぜひお楽しみください。
〈関連リンク〉
- 日本変光星研究会
- VSOLJ Variable Star Bulletin
- アメリカ変光星観測者協会
- アストロアーツ:
- 「星ナビ」2023年6月号 Observer's NAVI「はくちょう座χ星とくじら座のミラ」
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