タイタンの内部は、岩と氷の混ざったシャーベット
【2010年3月19日 JPL】
土星探査機カッシーニによる観測から、土星の衛星タイタンの内部は、岩石と氷の混じったシャーベット状であることが明らかとなった。
NASAの土星探査機カッシーニは、2006年2月から2008年7月までにタイタンへの接近通過を4回行った。
その際に、タイタンの重力によって引っぱられるなどして生じたカッシーニの飛行速度のわずかな変化が精密に計測され、タイタンの重力場が算出された。
その重力場をもとにタイタンの内部構造が示され、表面から深さ500kmあたりまでが岩石を含まない氷の層で、さらにその先に氷と岩石の混じった層が存在することがわかった。
水星、金星、さらに木星の氷の衛星ガニメデは、内部に金属質の核やはっきりと分かれた岩石の層などを持っている。これまで、タイタンは組成や大きさの観点からガニメデに似ていると考えられていたが、内部構造の違いは、2つの天体が異なる形成過程を経てきたことを示している。
タイタンは、むしろ木星の衛星カリストに似た歴史を持っていると言えそうだ。カリストには中心に核がなく、一番外側に岩石と氷の混ざった層が存在していると考えられている。
今回の研究成果は、たとえ同じ太陽系内の似たような大きさの衛星であっても、明らかに異なる歴史を持っていることを示し、外惑星のまわりを回る衛星を理解する上での基本情報の1つとなった。