「あかつき」、軌道投入の噴射開始2分後に姿勢喪失

【2010年12月9日 JAXA12月10日更新

探査機「あかつき」の金星周回軌道への投入失敗は、エンジン噴射開始から2分23秒後に機体の姿勢が大きく乱れたことによるものということが、探査機から送られたデータにより判明した。姿勢が乱れた原因は現時点で不明とのこと。


宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、「あかつき」の金星周回軌道への投入失敗に関して12月8日午後8時半に記者会見を開き、中村正人プロジェクトマネージャーが説明を行った。

会見によれば、「あかつき」から送られた軌道投入作業中のデータにより、7日午前8時49分の噴射開始から2分23秒後に機体姿勢が大きく乱れたことがわかったという。「あかつき」がセーフホールドモードに入り噴射が停止されたのはその直後と推定されている。当初12分間を予定していた噴射時間が大幅に不足したために金星周回軌道に乗ることができなかったようだ。

ただし、姿勢が乱れた理由についてはわかっていない。現在「あかつき」は通常のモードに復帰し、通信アンテナや電源、姿勢制御などシステム上の問題は見つかっていない。もし外見上の物理的な破損があった場合その有無については現時点では不明とのことで、今後詳しく技術的な検証が行われるという。

「あかつき」は、金星と同一公転面上で太陽を周回する軌道に乗っており、6年後には金星より1周多く回って追いつくかたちになる。その際軌道投入に再チャレンジできるかどうか、これから姿勢喪失の原因を究明するとともに探査機の状態を慎重に把握し、さまざまな可能性を探りながら挽回を図る。

※12月10日午前の会見で、「機体姿勢が崩れた時間を『噴射開始から2分32秒後』に訂正する」との発表がありました。ただし本ニュース中では9日発表のままとしています。