低金属星のハビタブルゾーンに見つかったスーパーアース
【2012年2月9日 ケック天文台】
水が液体として存在できる可能性のあるハビタブルゾーンに、地球の数倍の質量を持つスーパーアースが見つかった。中心星は金属量が少なく、重元素が必要な岩石惑星のスーパーアースがこのような恒星系に見つかったのは驚きだ。
アメリカの大学を中心とした国際研究チームはドップラー法(注1)による系外惑星探査を行い、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の公開データやケック望遠鏡による観測から、ハビタブルゾーン(注2)に存在する系外惑星を発見した。
今回見つかった系外惑星GJ 667Ccは公転周期28.15日、重さが地球の4.5倍以上というスーパーアースであった。この惑星に降り注ぐ主星の光量は地球のおよそ9割であるが、その多くが赤外線であるために、受け取るエネルギーの量は地球とほぼ変わらないだろうと考えられる。GJ 667Cには公転周期7.2日のスーパーアース(GJ 667Cb)も見つかっていたが、これは非常に主星に近いために液体の水は全て蒸発してしまう。
系外惑星の主星であるGJ 667Cは、地球から22光年離れたさそり座の方向にある三重連星をなす恒星系の1つだ。表面温度が3000度前後と低いM型赤色矮星で、金属量(注3)が少ない。
岩石惑星には重元素が必要であるため、金属量の少ない恒星系にスーパーアースが見つかったのは驚きだ。カリフォルニア大学サンタクルーズ校のSteven Vogt教授は「低金属星がハビタブルプラネットの主星であることは予想外だ。天の川銀河で最もありふれたこのような星に惑星が見つかったということは、ハビタブルゾーンにある岩石惑星は非常にたくさんあり、多様性に富んでいることを示唆している」と語っている。
さらに公転周期75日で回るガス惑星も存在しているかもしれないが、より詳細な観測が必要とされている。いずれにせよ、今回発見された系外惑星は液体の水が存在する可能性の高い惑星だと言えそうだ。
注1:「ドップラー法」 惑星の重力によって主星が振り回される様子を、光の波長のずれ(ドップラー効果)として観測することによって系外惑星を見つける方法。
注2:「ハビタブルゾーン」 惑星の表面温度が0度〜100度の間にあり液体の水が存在することができると見られる領域を指す。ハビタブルゾーンにある惑星のことをハビタブルプラネットとも言う。
注3:「金属」 天文学ではヘリウムよりも重い元素のことを総称して金属と呼ぶことが多い。
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