高速回転する超大質量ブラックホール

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【2013年2月21日 CfA

JAXAのX線天文衛星「すざく」を用いた研究で、銀河中心にある超大質量ブラックホールが高速回転していることがわかった。


NGC 7469

ハッブル宇宙望遠鏡で見たNGC 7469(右上)。中心に活発な超大質量ブラックホールが存在している。クリックで拡大(提供:NASA/ Hubble)

多くの銀河では、その中心に太陽の数百万倍から数十億倍の超大質量ブラックホールが存在している。とくにクエーサーのような場合には、光速に近い速度で噴き出す細いジェット流のような激しい現象をもたらす。

こうしたジェット流は、ブラックホール周囲の熱い円盤に物質が積もっていくことで発生すると考えられる。近寄ると引きずりこまれてしまうブラックホールだが、その周辺には円盤があり、ブラックホールへと落ちていく物質との相互作用によってエネルギーや物質が放射されるのだ。

ブラックホールを特徴づけるパラメータは質量のほかに自転などがある。ハーバードスミソニアン天体物理センター(CfA)のE.Nardini氏らは、JAXAのX線天文衛星「すざく」を用いて25個の銀河の活動銀河核を調査し、ブラックホールの自転について2つの結論を得た。

1つは、超大質量ブラックホールのほとんどは実際に高速で自転しているということだ。物質がどのようにブラックホールへと降着するかによって自転は速くも遅くもなりうるのだが、高速自転しているという研究結果からは、超大質量ブラックホールへの物質降着は持続的かつ安定的に発生していることがわかる。

もう1つは、銀河核からの電波の強さとブラックホールの自転との間には直接的な関係がないことである。