地球の17倍重い岩石惑星ケプラー10c

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【2014年6月3日 CfA

560光年彼方に、地球の17倍もの質量を持つ岩石惑星が見つかった。これほど重い岩石惑星の存在は従来考えられなかったことで、宇宙初期における惑星形成について考え直すきっかけともなる重要な発見だ。


ケプラー10惑星系

巨大岩石惑星ケプラー10c(手前)の想像図。同じ惑星系に属するケプラー10b(中央やや上の赤く小さな天体)は「ケプラー」の観測で見つかった最初の岩石惑星で、中心星に近いため灼熱の世界と考えられる。クリックで拡大(提供:David A. Aguilar (CfA))

りゅう座の方向560光年彼方に、地球17個分もの重さの岩石惑星ケプラー10cが見つかった。このスーパーアースならぬ「メガアース」は太陽に似た恒星ケプラー10を45日周期で回る天体で、2011年にNASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」の観測から発見されたものだ。

ケプラーの観測では、惑星が中心星の手前を通過する時の減光量から、惑星の直径が約2万9000km(地球の約2.3倍)であることがわかっていた。Xavier Dumusqueさん(ハーバード・スミソニアン天体物理学センター)らはカナリア諸島にあるガリレオ国立望遠鏡を用いた観測で、惑星の重力による中心星のわずかなふらつきを計測し、惑星が地球の17倍の質量を持つことをつきとめた。大きさと重さから、その組成はガスではなくより高密度の岩石であることも判明した。

ケプラー10cほどの質量の惑星が岩石でできているというのは驚くべきことだった。理論上、これほど重い天体では重力で水素ガスが大量に集まり、木星のような巨大ガス惑星になると考えられてきたからだ。もしこの惑星に大気があれば、重力で留められて失われることなく、形成された時のままの状態と考えられる。

同研究チームのLars A. Buchhaveさんはこの成果と併行して、惑星の公転周期と、岩石惑星とガス惑星の境界となるサイズには関連性があるという研究についても発表している。公転周期が長い惑星を調べていくことで、ケプラー10cのような巨大な岩石惑星がさらに見つかるかもしれない。

ケプラー10cの発見は、太古の宇宙における惑星形成について新たな理解をもたらすものだ。ケプラー10惑星系は約110億年前、つまりビッグバンから30億年経たないうちに形成されている。岩石惑星の材料となるケイ素や鉄がまだ豊富でなかった時代に、すでに巨大な岩石惑星が作られていたことになる。古い恒星にも地球型惑星が存在するということになれば、生命に適した星が存在する可能性もさらに広がるだろう。


ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」では、系外惑星が発見された恒星(Kepler-10)を星図で表示・検索することができます。

  • 「ステラナビゲータ10」をご利用の方は、まず「ツール」メニューからデータを更新し、「恒星」ダイアログで「系外惑星をもつ恒星」の「表示」「名称」をオンにしてください。
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