19時:スタート
西空に沈みゆく秋の系外銀河を追う
薄明の中、急いで西の空を捜天せよ
ここでは、月の条件や曜日を無視して3月20日の夕方から21日の朝にかけてメシエマラソンを実施することを想定して解説していきましょう。
3月20日の日の入の時刻は17時52分(東京)ころで、暗くなり始めるのが18時30分ごろですから、19時には本格的にスタートできるように、準備を整えましょう。赤道儀の極軸もきっちりと合わせておきたいところです。そして、準備ができたら望遠鏡の視野におひつじ座のα星を捉えておきましょう。
スタートのこのエリアでは、1時間に10個の天体をこなさなくてはいけません。M31+M32+M110が同時に見えるとしても8ケ所を回らなくてはなりません。沈んでいく天体のスピードは想像以上に速いので地平線に近い天体から効率よくかたづけていきましょう。
さて、スタートからてごわい相手が登場します。うお座のM74で、メシエ天体の中では見にくい系外銀河のひとつです。さらに、地平高度は約15度しかなく、もたもたしているとすぐに沈んでしまいます。薄明中におひつじ座のα星、β星とたどってうお座のη星を見つけておくことが必要です。次はくじら座の系外銀河M77です。ほぼ赤道上にあるくじら座δ星に近接していることを頭に入れて導入しましょう。この2つをクリアすれば、後はM33、M31、M52といったメジャーなものが多いので少し楽になります。ちょっと厄介なのは小さくて暗い惑星状星雲M76です。これは、M33と赤経がほぼ同じなので、赤緯軸の動きだけで近くまで行くことができますが、見落とさないよう注意しましょう。
星図は、見慣れた天の北極を上にしたものではなく、時刻ごとに傾きを変えてあります。経緯台や双眼鏡を使う場合は星図の上が天頂方向になります。赤道儀の場合も、どちらの軸を動かせば次の天体が導入できるかが分かるように赤経・赤緯線を描き入れてあります。
ルート案内
メシエマラソンは、西空に沈みかけている系外銀河M74で始まる。おひつじ座のα星、β星と結んでうお座η星を探し、その東約1゚と当たりをつけるがいきなりの難物だ。
くじら座の系外銀河M77も難物、 くじら座γ星の南約3゚でほぼ天の赤道上にある。M74から約15゚北にあるのがおなじみの系外銀河M33、大きいが淡いので期待してはいけない。明るい散開星団M34はアンドロメダ座γ星から東約40'。惑星状星雲M76はペルセウス座φ星からたどるが、暗く小さいので小口径ではムリか? カシオペヤ座の散開星団M103とM52は地平高度が低くなると望遠鏡でも星雲状にしか見えない。
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