日本天文遺産に「明月記」と福島県「会津日新館天文台跡」を認定
【2019年3月20日 日本天文学会】
日本天文学会は、歴史的に貴重な天文学・暦学関連の遺産を文化的遺産として保存し、その普及と活用を図ることを目的として、国内の貴重な史跡や文献を「日本天文遺産」として認定する制度を今年(2018年度)から開始した。
第1回目の遺産として、京都市にある冷泉家時雨亭文庫が所有する藤原定家の日記「明月記」と、福島県会津若松市にある江戸時代の天文台跡「会津日新館天文台跡」が選定された。
明月記
新古今和歌集や小倉百人一首の撰者として知られる藤原定家(1162-1241)によって鎌倉時代に書かれた日記である。同文献には、望遠鏡発明前に観測された超新星のうちの3件(1006年、1054年、1181年)が記載されているほか、日食や月食、オーロラなどの天文現象についての記載があり、天文学の専門的な文献資料ではないものの、天文現象の古記録としてきわめて重要な意義を持つ。
会津日新館天文台跡
旧会津藩校日新館(1803年完成)に設けられた天文台で、ドームのような建屋を持つ近代の天文台とは全く異なる江戸時代の天文台の遺構として、現存唯一のものである。現存部分は天文台(露台)のおよそ半分だが、露台の高さはほぼ原状を保っていると推定されている。
同天文台跡は、天体の位置を測定し精確な暦を目指した当時の日本の天体観測の様子が体感できる貴重な遺跡で、天文台の現存部分は市指定史跡として保存されている。日本天文遺産としての認定を契機に、周辺の遺構の調査や保存措置が進むことが期待される。
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