エウロパの地下海に熱水活動の証拠
【2020年12月24日 地球生命研究所】
木星の第2衛星エウロパの地殻は氷でできていて、その下には広大な地下海がある。この地下海に生命が存在する可能性も期待されているが、海水などの成分、熱水活動の有無などはわかっていない。エウロパ内部の生命や生態系について考察するうえで、ある程度条件を絞るためには、こうした情報が必要となる。
エウロパには、火山活動が続いている木星の第1衛星イオから、常に大量の硫酸が供給されている。そのままでは硫酸が地下海に蓄積してしまうはずだが、エウロパの表面に存在するのはナトリウムと塩素の化合物ばかりで、硫酸の化合物は見つかっていない。そのため、大量の硫酸の行方は専門家の間で議論の的となってきた。
地球生命研究所(ELSI)および東京大学大学院理学系研究科の丹秀也さんたちの研究グループは、エウロパの海底の高圧・高温条件を模した熱水反応装置を開発し、地下海に供給された硫酸がどのような化学反応を起こすのかを調べた。その結果、エウロパの海底に熱水活動があれば、化学反応によって硫酸が除去され、硫酸のない海を保つことができることが示された。
とくに、エウロパの海底の岩石が玄武岩であれば、化学反応によって効果的に海水中の硫酸を除去でき、玄武岩が供給する熱水反応によって生命のエネルギー源となる水素などの還元剤が生成される。エウロパに生命が存在するならば、玄武岩が関わる化学反応や熱水活動によって、その活動が支えられているのかもしれない。
〈参照〉
- 地球生命研究所:木星の衛星エウロパの地下海を再現し、生命に必須の熱水活動の存在を証明
- Icarus:The role of hydrothermal sulfate reduction in the sulfur cycles within Europa: Laboratory experiments on sulfate reduction at 100 MPa 論文
〈関連リンク〉
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