地球に降り注ぐ宇宙塵は年間5000t以上

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彗星や小惑星に由来する惑星間塵の一部は地球の大気圏に突入して流星になるが、そうした経路で宇宙から地表に到達する塵を合わせると年間約5000tに達するという推計が発表された。

【2021年4月15日 フランス国立科学研究センター

派手な火球を伴い地球に衝突する隕石は、しばしば話題となる。一方、もっと小さな物質は、絶えず地球の大気に流星となって突入していて、その燃えかすは顕微鏡でしか見えないような塵となってひっそりと地面に到達している。そうした「流星塵」の質量を合計すると隕石よりもはるかに大きいことがわかっているが、最新の研究調査によれば、その量は年間約5000tと見積もられるようだ。

電子顕微鏡で見た流星塵
電子顕微鏡で見た、南極の雪から抽出された流星塵(提供:Cécile Engrand/Jean Duprat)

仏・国立科学研究センターのJean Dupratさんたちは理想的な条件で流星塵を調査するために、過去20年間で6回の南極遠征を実施した。南極大陸の沿岸から1100kmも内陸に位置する仏・伊の共同観測基地「コンコルディア基地」は氷床を含めた標高約3200mの「ドームC」にあるが、この付近は積雪が少なく、地球の塵が混入するのを避けて流星塵を回収するにはうってつけの場所だ。

南極での流星塵回収
2002年にドームCで流星塵を回収している様子(提供:Jean Duprat / Cécile Engrand / CNRS Photothèque)

Dupratさんたちはここで、大きさ30~350μmの粒子を全部で2088個発見した。サイズの分布などを踏まえた上でこの結果を地球全体に当てはめると、宇宙から地表へ到達する塵(12~700μm)は年間で合計約5200t(上限値7700t、下限値4000t)と推定されるという。これに対して隕石などの大きな物質は年間10t未満であり、地球外からやってくる主な物質は流星塵ということを示す結果だ。

また、流星塵の中には大気圏突入時の熱で一度完全に溶けたものと原型を保っているものがあり、これは突入前の惑星間塵の成分を知る手がかりとなる。溶けた塵の割合などを既存の理論モデルに基づく予測と比較した結果、流星塵の80%は彗星に由来し、残りは小惑星に由来するのではないかと研究チームは考察している。初期の地球に炭素を含む分子や水を供給する上で惑星間塵が果たした役割を教えてくれる貴重な情報だ。