すばる望遠鏡「星空ライブカメラ」本格運用スタート

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すばる望遠鏡の「星空ライブカメラ」の本格運用が開始された。「流星クラスター」や「さいだん座『新』流星群」などの現象も観測されており、流星研究や市民天文学での活用も期待される。

【2022年9月16日 星ナビ編集部すばる望遠鏡

朝日新聞社は2021年4月より、米・ハワイのマウナケア山頂にある国立天文台すばる望遠鏡のドームに「星空ライブカメラ」を設置し、YouTubeチャンネル「朝日新聞宇宙部」にてライブ配信を行っている。

9月13日(火)、朝日新聞社と国立天文台はこの「星空ライブカメラ」について設置と運用についての協定を締結し、ライブカメラの本格運用を開始した。

調印式
調印式の様子。協定の締結により、国立天文台と朝日新聞社が協力しさらに星空ライブカメラを発展させていきたいという。左から中村史郎さん(朝日新聞社代表取締役社長)、常田佐久さん(国立天文台台長)(撮影:星ナビ編集部)

星空ライブカメラが設置されているのは、すばる望遠鏡のドーム外周にある作業用の足場(キャットウォーク)の手すり部分だ。撮影にはミラーレス一眼レフカメラ「SONY α7S III」に大口径広角単焦点レンズ「FE 24mm F1.4 GM」を使用しており、朝日新聞が開発した防水ボックス内部に収められている。東の空を中心に8等星まで撮影でき、天の川や全ての惑星が確認できるほか、流星群の極大では1時間に100個を超える流星をとらえることに成功しているという。

星空ライブカメラ
記者会見で披露された星空ライブカメラ。左のカメラ(α7S III)と同じものが防水ボックス内に搭載されている(撮影:星ナビ編集部)

すばる望遠鏡のあるマウナケア山は気流が安定しており晴天率が高く、世界各国13基の望遠鏡が集まる世界有数の天体観測地である。山頂は一般人の夜間立ち入りが制限されているが、このライブ配信のおかげで、自宅にいながら世界有数の星空を楽しむことができる。さらに、2021年7月の「流星クラスター現象」や、2021年10月の「さいだん座『新』流星群の発見」など、流星研究の観点でも期待されている。

「星ナビ」2022年12月号では、計画を主導する東山正宜さん(朝日新聞社)による記事を掲載予定だ。

会見
(左)星空ライブカメラ設置の経緯を語る東山さん(撮影:星ナビ編集部)/(右)星空ライブカメラによる成果の紹介を行う田中壱さん(国立天文台)