すばる望遠鏡のライブカメラがとらえた流星の研究論文を一挙掲載

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国立天文台と朝日新聞が運用する、すばる望遠鏡の星空ライブカメラで記録された流星の研究論文6編が、日本天文学会の学術論文誌「PASJ」に特集として掲載された。

【2026年2月12日 すばる望遠鏡

「すばる-朝日星空ライブカメラ」(以下、星空ライブカメラ)は、国立天文台と朝日新聞のコラボレーションから生まれたライブカメラで、米・ハワイのマウナケア山頂にある「すばる望遠鏡」のドーム外周部分に取り付けられている。2021年4月にライブ配信を開始して以降、機器のトラブルなどを除いて24時間365日、YouTubeの「朝日新聞宇宙部」チャンネルでマウナケアの空模様を配信している。

最先端の高感度カメラによる映像と、世界有数の天文観測適地であるマウナケアの星空の美しさによって、同チャンネルは多くの視聴者に親しまれている。配信映像では、流星群の活動や皆既月食、人工衛星の軌道投入など、様々な天文現象がリアルタイムでとらえられてきた。

星空ライブカメラがとらえた流星クラスター
2024年7月に星空ライブカメラがとらえた流星クラスター(クレジット:国立天文台・朝日新聞社)

特に流星天文学への貢献は大きく、今回、日本天文学会の学術論文誌『欧文研究報告(Publications of the Astronomical Society of Japan; PASJ)』の2026年2月号で、この星空ライブカメラで観測された流星現象に関する6編の研究論文が、特集「高感度ライブカメラによる流星科学の新時代」として一挙に掲載された。

「PASJ」2026年2月号と6編の論文
(右)日本天文学会欧文研究報告(PASJ)2026年2月号、(左)同誌の特集「高感度ライブカメラによる流星科学の新時代」に掲載された6編の論文(提供:(右)Oxford University Press、(左)国立天文台)

掲載された論文の一つは、星空ライブカメラの配信開始からわずか3か月後の2021年7月にとらえられた流星クラスターに関するものだ(参照:「ハワイ上空で発生した「流星クラスター」現象」)。2021年7月14日未明(ハワイ時間)、わずか数秒の間に同じ方向から多くの流星が一斉に流れる様子が星空ライブカメラにとらえられ、ライブ配信の視聴者を大いに驚かせた。それまで流星クラスターは、性能や観測条件が異なる機材で偶然にとらえられるケースがほとんどだったため、同じ観測地で夜空を継続的に記録している星空ライブカメラで記録された流星クラスターのデータは、科学的にも貴重なものとなっている。

2021年7月14日未明(ハワイ時間)に星空ライブカメラがとらえた流星クラスター。10秒足らずの間に12個の流星が流れる。手前はマウナケア観測所群のドーム(提供:国立天文台・朝日新聞社)

2021年10月6日には、さいだん座の方向に放射点を持つ新しい流星群の出現が予測された。国立天文台の佐藤幹哉さんたちは、星空ライブカメラにこの新流星群が映るのではないかと考え、視聴者からボランティアを募り、6日の前後数日にわたってアーカイブ動画を検証した。その結果、予想通りに流星活動の検出に成功し、北半球でほぼ唯一の観測地点として、市民科学で得られた貴重なデータとなった(参照:「すばる望遠鏡の星空ライブカメラ、さいだん座流星群を記録」)。

さいだん座流星群
マウナケア天文台群の上空を流れるさいだん座流星群。右上から左下に流れ落ちる短い筋がさいだん座流星群による流星(候補)。2021年10月6日19時~20時40分(ハワイ時間)に流れた24個の流星を合成(提供:国立天文台・朝日新聞社)

さらに、「2022年ヘルクレス座τ流星群」と「2021年アンドロメダ座流星群」という、活動の弱い2つの流星群でも突発的な出現をとらえた。前者は佐藤さんたちによるダスト・トレイルのモデル計算で予測された活動が、星空ライブカメラで実際に確認されたものだ。後者では、星空ライブカメラでの流星検出をきっかけに、同様のモデル計算で流星群の活動が確認された。いずれも、7等級以下の暗い天体までとらえられる星空ライブカメラの性能と、マウナケアの優れた観測環境がそろったことで、微弱な流星活動が明瞭に記録された貴重な成果だ。

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