ホットジュピターの内側で、公転が大きく変動するミニ海王星
【2024年9月11日 ルンド大学】
スウェーデン・ルンド大学のJudith Korthさんたちの研究チームが、ケフェウス座の方向約450光年の距離にある恒星「TOI-1408」で新たな系外惑星「TOI-1408 c」を発見した。主星は質量が太陽の1.3倍で表面温度は約6100Kと、太陽に似ている。
この星では、系外惑星探査衛星「TESS」によってトランジット(主星の手前を惑星が通過して減光される現象)が検出されており、このデータから惑星「TOI-1408 b」がすでに見つかっていた。TOI-1408 bは質量が木星の1.86倍で、主星のごく近くをわずか4.42日周期で公転している「ホットジュピター」だ。
Korthさんたちが地上望遠鏡での観測も合わせてこのTOI-1408 bのトランジットのデータを詳しく解析したところ、トランジットを起こしているもう1つの惑星としてTOI-1408 cが今回新たに見つかった。TOI-1408 cは質量が地球の7.6倍で、“ミニ海王星”といえる規模の惑星だ。公転軌道はTOI-1408 bよりさらに内側にあり、わずか2.22日で主星の周りを回っている。
また、この惑星はきわめて奇妙な軌道運動をしていることが明らかになった。TOI-1408 cがトランジットを起こす時刻が、最大で8時間も遅れたり早まったりするのだ。時刻のずれの大きさは公転周期の15%にもなり、これほど大きな変動をみせる系外惑星は知られていない。「このような惑星が存在することは、惑星系の形成や安定性の理論に疑問を投げかけるものです」(Korthさん)。
Korthさんたちは、惑星系はこれまで考えられてきたよりもずっと複雑なものかもしれないと考えている。主星とホットジュピターの軌道の間に小型の惑星が見つかった例はまれで、惑星系の進化を研究する上で、TOI-1408の惑星系は他にない貴重な実例となる可能性がある。
「今回の結果は、とくに巨大惑星が含まれている惑星系で、どのように惑星が誕生し、複数の惑星が近づいたときにどう振る舞うのかという問題を、より深く理解する助けとなるでしょう」(Korthさん)。
〈参照〉
- Lund University:Researchers discover a space oddity - an exoplanet moving in mysterious ways
- The Astrophysical Journal Letters:TOI-1408: Discovery and Photodynamical Modeling of a Small Inner Companion to a Hot Jupiter Revealed by Transit Timing Variations 論文
〈関連リンク〉
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