ミニネプチューンの大気に多量の二酸化炭素を検出

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ミニネプチューンに分類される40光年彼方の系外惑星の大気に含まれる二酸化炭素の量が、太陽系で二酸化炭素を最も多く含む大気を持つ金星に匹敵することが、JWSTの分光観測から示された。

【2025年1月22日 国立天文台

太陽系の外にある系外惑星はこれまでに7000個以上確認されている。そのなかで、地球より大きく海王星より小さい惑星(ミニネプチューン、サブネプチューン)は、太陽系には存在しないが、天の川銀河においては最も一般的なタイプの惑星であることがわかっている。

ミニネプチューンの構造は太陽系の惑星とは異なることが示唆されているが、具体的な構造については議論が続いている。岩石質のコア(中心核)の周りに水素に富む外層部を持つのか、あるいは氷でできたコアの周りにほとんどが水蒸気で構成された外層部を持つのかは、よくわかっていない。両者は平均密度が似通っているため、惑星の質量と半径の測定だけでは区別がつかないからだ。系外惑星の大気を観測してこれらを区別しようとする試みもあるが、多くの系外惑星の大気は厚い雲に覆われていて、その下の大気や内部構造を研究することは困難だった。

へびつかい座の方向約40光年の距離にあるミニネプチューン「GJ 1214 b」は、地球から近いなどの理由により、惑星大気の分光観測に適している。惑星の大気を通ってきた主星(中心星)のスペクトルを調べることで、その大気の情報を詳しく調べられるのだ。そこで、米・アリゾナ大学スチュワード天文台のEverett Schlawinさんたちの研究チームはジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を用いて、GJ 1214 bの分光観測を行った。

系外惑星「GJ 1214 b」の想像図
主星の前を横切る系外惑星「GJ 1214 b」の想像図(提供:国立天文台)

観測の結果、二酸化炭素とメタンが検出され、とくに二酸化炭素がより強く検出された。GJ 1214 bの大気が、水蒸気が優位な地球大気や、水素やヘリウムが優位な海王星の大気と大きく異なることを示唆する結果だ。さらに、理論シミュレーションのモデルと観測結果とを比較したところ、二酸化炭素の量は、太陽系で二酸化炭素を最も多く含む大気を持つ金星に匹敵することが明らかになった。

複数のモデルから、GJ 1214 bは水素を主成分としない大気を持つ可能性が高いとみられている。この結果はこれまでのミニネプチューンの内部構造と進化に関する理解とは一致しないものだ。今回の検出シグナルは微弱であったため、今後高精度の追跡観測を行ったり他のミニネプチューンを観測したりする必要もあるだろう。

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