「はやぶさ2」の15mm光学航法望遠カメラで系外惑星の検出に成功

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探査機「はやぶさ2」の光学航法望遠カメラが、太陽系外惑星のトランジット現象をとらえた。口径15mmの観測器による検出は世界最小口径の記録で、専用望遠鏡による観測結果とも整合する高精度のデータが得られている。

【2026年6月1日 JAXA宇宙科学研究所

これまでに太陽系外惑星は約8000個が発見されている。恒星の手前を惑星が横切ることで生じる明るさの変化を観測して系外惑星を検出する「トランジット法」では、公転周期が短い(頻繁に減光が起こる)惑星のほうが検出しやすいため、太陽系の木星のように公転周期が10年以上の大型惑星はほとんど発見されていない。

トランジット現象の概念図
系外惑星が中心星の前を横切るトランジット現象の概念図(提供:JAXA)

こうした観測の偏りを低減する手段として、JAXAの「LOTUS計画」に代表される超小型衛星によるトランジット観測が注目されている。小型衛星により同一の恒星を長期間継続して観測することで、公転周期の長い木星型惑星の検出が可能になると期待される。ただし、これまでトランジット観測に成功した最小の観測機器は、NASAのキューブサット宇宙望遠鏡「ASTERIA」に搭載された口径60mmの望遠鏡で、より小型の機器の観測精度は明らかになっていなかった。

JAXA宇宙科学研究所の湯本航生さんたちの研究チームは、探査機「はやぶさ2」に搭載された口径15mmの光学航法望遠カメラ(ONC-T)を用いて、世界最小口径の観測器による系外惑星のトランジット観測に挑んだ。

光学航法望遠カメラは「はやぶさ2」がサンプルを持ち帰ったリュウグウの科学観測に貢献したほか、惑星間ダストによる微弱な散乱光の検出にも成功していて、小型ながら高精度な観測ができる。一方で、打ち上げから10年以上が経過し、宇宙線照射による劣化も見られる。こうした条件は、小型観測器による長期のトランジット観測の可能性の検証に好適だった。

光学航法望遠カメラ
探査機「はやぶさ2」に搭載された光学航法望遠カメラ(ONC-T)(提供:(左)JAXA宇宙科学研究所リリース、(右)

湯本さんたちはてんびん座の「WASP-189 b」(公転周期約2.7日)とこうま座の「MASCARA-1 b」(公転周期約2.1日)という2つの系外惑星のトランジットを、2年間にわたり計14回観測した。各イベントでは約21時間の連続観測を行い、合計約1万枚の画像を取得した。

その結果、トランジットに伴う約0.5%の恒星減光がとらえられた。トランジット時刻は約2分、減光率から求めた惑星と恒星のサイズ比は約0.2%の精度で決定され、口径が約7倍大きいNASAの系外惑星探査衛星「TESS」による観測とも整合的な結果が得られている。口径15mmという極めて小型の観測器であり、かつ10年以上宇宙線を浴び続けた後であっても、木星型惑星のトランジットをとらえるのに十分な性能を維持していることを実証する成果だ。

WASP-189 bのトランジット
(左)WASP-189 bのトランジットの様子。(右)惑星のトランジットに伴う主星の光度の時間変化(提供:JAXA宇宙科学研究所リリース、以下同)

WASP-189 bとMASCARA-1 bの観測結果
WASP-189 b(左)とMASCARA-1 b(右)の観測結果。「はやぶさ2」光学航法望遠カメラとTESSの結果はよく一致している

今後、小口径観測機器を用いて同一恒星を年単位で観測することで、公転周期の長い木星型惑星の検出例を増やせるだろう。様々な惑星系の発見により、太陽系の普遍性や特異性の理解が進むことも期待される。

なお、現在「はやぶさ2」は、7月5日の小惑星「トリフネ」の高速フライバイ探査に向けて航行を続けている。

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