40周年を迎える探査機「ボイジャー」

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NASAの探査機「ボイジャー1号」と「ボイジャー2号」は、この8月と9月に打ち上げから40年を迎える。探査は今も続いており、地球から200億kmほど離れたところからデータを送ってきている。

【2017年8月7日 NASA JPL

「これまで40年にわたってボイジャーが成し遂げてきた成果を考えると、それに匹敵し得るミッションは、ほとんどないと思います。2機の探査機は私たちを未知の宇宙の謎へと導き、太陽系とその先の探査続行に希望を与え続けてきました」(NASAサイエンス・ミッション理事会 Thomas Zurbuchenさん)。

探査機「ボイジャー」
「ボイジャー」のうちの1機のイメージイラスト(提供:NASA/JPL-Caltech)

ボイジャー1号は1977年9月5日に打ち上げらた。1979年に木星、80年に土星に接近して探査を行った後、さらに旅を続け、2012年に恒星間空間へ入った人類史上唯一の探査機となった。現在は地球から約210億km離れており、地球から見るとヘルクレス座とへびつかい座の境界付近にある。

一方のボイジャー2号は、1号よりも2週間早く8月20日に打ち上げられた。1979年に木星、81年に土星、86年に天王星、89年に海王星に接近して探査を行っており、木星以遠のすべての惑星を接近探査した唯一の探査機である。現在は1号とは反対に太陽系の南へと旅を続けており、地球からは約170億km離れた、ぼうえんきょう座とくじゃく座の境界付近にある。こちらも数年のうちに恒星間空間に入るとみられている。

両機の探査成果の一部としては、木星の衛星「イオ」に地球外天体として初めてとなる活火山の発見、衛星「エウロパ」の表面下に広がる海の存在の示唆、土星の衛星「タイタン」に地球のような大気の発見、などがある。2号は天王星と海王星を探査した史上唯一の探査機でもあり、天王星の衛星「ミランダ」の不思議な姿や、海王星の衛星「トリトン」の氷の間欠泉などもとらえた。

天王星の衛星「ミランダ」と海王星の衛星「トリトン」
(左)ボイジャー2号が撮影した天王星の衛星「ミランダ」。(右)ボイジャー2号が撮影した海王星の衛星「トリトン」(提供:NASA/JPL-Caltech/USGS)

太陽系の惑星を遠く後にした探査機は、太陽の影響が小さくなり恒星間空間の始まりである領域の状態を観測し、現在もデータを地球へと送信し続けている。恒星間空間では光速に近い速度にまで加速された宇宙線が地球の近くと比べて4倍も多いことが探査データから示されており、太陽系と太陽風を含む泡構造であるヘリオスフィア(太陽圏)が効果的に宇宙線から惑星を守っていることがわかる。さらに、ボイジャー1号の観測からヘリオスフィア周辺が星間磁場に包まれていることが示唆されている。

ボイジャーによる予想以上の成果は、ミッションを計画した技術者の先見の明のおかげと言える。太陽系内で最も過酷な木星周辺の強い放射に対する対策は、その後の旅にもじゅうぶんな装備となっているのだ。「打ち上げ時、40年後も何かがこうして作動し、先駆的な旅が続くとは、誰も知る由もありませんでした」(ボイジャー・プロジェクトサイエンティスト Ed Stoneさん)。

探査機運用チームは最後の観測機器を2030年までに停止しなければならないと考えているが、無言になった後もボイジャーは時速4万8000km以上もの速度で旅を続ける。2機には音や画像、メッセージなどが保存された「ゴールデンレコード」が搭載されている。探査機は数十億年でも存在しうることを考えると、この円盤型タイムカプセルは私たちの文明の、宇宙における唯一の痕跡となるかもしれない。

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