高速で自転する「レグルス」の秘密

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高速で自転する星からは偏光した光が放出されるという50年前の予測が、しし座の1等星レグルスの観測によって初めて確かめられた。

【2017年9月25日 UNSW Sydney

しし座の胸で白く輝く1等星レグルスは、約79光年彼方にある星で、表面温度が約1万3000度という高温星である。こうした高温星が高速で自転していると、星が歪んだりつぶれたりして、星からの光は偏光するという予測が約50年前になされていたが、これまで偏光が検出されたことはなかった。

豪・ニューサウスウェールズ大学のDaniel Cottonさんたちの研究チームが豪・サイディング・スプリング天文台の高精度偏光計を用いてレグルスを観測したところ、この予測されていた偏光が検出された。「世界で初めて、高速自転する星からの偏光の検出に成功しました。また、コンピューターモデルとの比較から、レグルスの自転速度や自転軸の傾きもわかりました」(Cottonさん)。レグルスの自転速度は秒速約320kmと非常に速く、星の破壊を引き起こす角速度の96.5%にも達している。

「高速自転する恒星の持つ性質の計測は、これまで極めて難しいものでした。とはいえ、天の川銀河内に存在する高温で巨大な星の大半は、鉄やニッケルといった重元素を生成する役割を担っているので、こうした星のライフサイクルを理解するうえで今回のような情報はとても重要です」(Cottonさん)。

2017年8月21日の皆既日食時に見えたレグルス
2017年8月21日(現地時間)アメリカ合衆国で観測された皆既日食。太陽左下の光点がレグルス(撮影:アストロアーツ 川口雅也(ティトンビレッジにて)+上田敬司(ドリッグスにて))