「ひので」撮影、大規模フレアを起こした活動領域の磁場構造とX線動画
今月6日から11日(日本時間、以下同)にかけて、太陽の「活動領域2673」と呼ばれる黒点群で大規模なフレア(爆発現象)が4回にわたり発生した。その直前の5日朝に黒点群が急激に成長したことを受け、日本の太陽観測衛星「ひので」の観測チームは予定していた観測を中止し、5日の夕方からこの黒点群の観測を開始した。
「ひので」が大規模フレア発生の少し前の6日9時にとらえた黒点群の磁場構造と、さらにその10時間前となる5日23時にとらえた磁場構造との比較から、元からあったN極の単極黒点のところに2対の新しいN極とS極の黒点ペアが分断するように現れたと考えられている。このペアの出現によって大きくねじ曲げられた磁力線ができ、エネルギーがコロナ磁場に蓄えられた(それが解放されて大規模フレアとなった)可能性が考えられる。
フレア発生前の太陽表面の磁場構造を詳細に解析することにより、具体的にどのようなメカニズムが今回の大規模フレアを引き起こす引き金になったのかが明らかになると期待される。フレアを起こすきっかけとなる磁場構造やメカニズムが解明できれば、磁場構造の変化を監視することで、人工衛星や宇宙飛行士、地上の通信網などに影響を与えうるフレアが事前に精度良く予測できるようになるだろう。
また、6日と11日に起こった2回のフレアについて、「ひので」がX線観測でとらえた爆発の瞬間の動画も公開された。
フレアにおける磁場のエネルギーの解放は磁力線のつなぎ替え(磁気リコネクション)を通して起こると考えられているが、磁気リコネクションを横から鮮明にとらえられるのはフレアが太陽の縁で起こった場合に限られるため、今回(とくに11日)の観測は貴重なものである。太陽面中央付近と縁でとらえたデータの解析から、磁気リコネクションによって磁場のエネルギーが解放される仕組みがより詳細に解明されると期待される。
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