小惑星イトカワ、約2年ぶりに地上の望遠鏡で観測
【2006年12月4日 宇宙科学研究本部 宇宙ニュース】
昨年、小惑星探査機「はやぶさ」が探査した小惑星イトカワが、久しぶりに地上の望遠鏡で観測された。2006年11月24日に東京大学木曽観測所105cmシュミット望遠鏡で撮影された写真には、イトカワが淡い輝点としてとらえられている。
イトカワの明るさは約21等級で、10分積分の画像を9枚重ね合わせることで、ようやく検出された。昨年「はやぶさ」が探査していたとき、小惑星イトカワは地球からみるとちょうど太陽の向こう側にいたため、地上からその姿を見ることはできなかったのだが、現在はふたご座の方向に見えている。地上の望遠鏡で小惑星イトカワの位置観測報告があったのは2004年9月以来のことで、約2年ぶりに姿を現したことになる。
現在地球からイトカワまでの距離は約0.78AU(1億2000万km、1AU(天文単位)は約1億5000万km)。来年1月22日に一旦0.46AU(6900万km)の距離まで近づく。その後少し離れるが、7月23日に再び0.28AU(4200万km)の距離まで近づく。太陽との位置関係(位相角の関係)のため、距離は遠いものの来年1月末の方が明るいようだ。
なお、小惑星探査機「はやぶさ」は現在イトカワから約5万2000km離れたところ(イトカワのほぼ進行方向)に位置しており、来年2月ごろの地球帰還に向けたイオンエンジン起動開始を控えて、待機をしている。