子供の彗星が誕生? 石垣島天文台で撮影
【2011年8月3日 石垣島天文台】
7月29日、石垣島天文台が子供のような小天体を引き連れた珍しい彗星の撮影に成功した。2005年に発見されたファンネス彗星(213P/Van Ness)で、核が剥がれてできた子彗星がダストの尾の中に小さく見えている。
国立天文台 石垣島天文台
7月29日の夜、石垣島天文台のむりかぶし望遠鏡が、子供の彗星を持っている珍しい彗星の撮影に成功しました。
子供を持っていることが分かった彗星は、周期彗星のファンネス彗星(彗星記号:213P、周期6.3年)で、2005年に13等の明るさになるバーストを起こして発見されました。
石垣島天文台では、この彗星が9月上旬に太陽と反対方向の位置にくる「衝(しょう)」を迎え観測しやすくなることから、7月中旬から観測を開始していましたが、7月29日に花山秀和研究員と福島英雄研究技師が、ダストトレイルと呼ばれる彗星軌道に残された帯状の塵の輝きの中に、子供のように見える新たな彗星を発見しました。
現在の明るさは、親彗星が13等、子供の彗星が約20等で、肉眼では見ることができません。火星の外側を楕円軌道で回っており、今はうお座の方向にあります。現在の地球からの距離は、約1億9500万kmです。
子供の彗星のように見えるこの彗星は、親の彗星の核から剥がれた小さな氷の破片のようなものではないかと考えられています。
石垣島天文台では、この発見を7月31日国際天文学連合に報告しました。
石垣島天文台では、引き続き観測を続けるとともに、これまでの観測データも合わせ、この子供の彗星がいつごろ生まれ、親彗星からどれくらいのスピードで離れていったのかなどを解明したいと考えています。
むりかぶし望遠鏡は、九州沖縄で最大の口径(105cm)をもつ反射式天体望遠鏡で、土日祝日は一般の天体観望などにも利用されています。石垣島天文台は、2006年に国立天文台と石垣市が共同して建設されました。