北極星に近づくパンスターズ彗星
【2013年5月24日 アストロアーツ】
太陽から遠ざかりつつあるパンスターズ彗星(C/2011 L4)が、5月末には見かけ上北極星のそばを通過する。27日前後には地球との位置関係で尾が濃く見やすくなり、もうひと注目のチャンスだ。レモン彗星(C/2012 F6)も、明け方の空で見やすくなっている。
太陽や地球から遠ざかりつつあるパンスターズ彗星(C/2011 L4)は、尾が長く広がり、近日点通過直後とはまた異なった姿を見せている。
5月下旬には、北極星のそばを見かけ上通過する。最も接近するのは27日ごろで、北極星との離角は5度ほど。視野の広い双眼鏡なら同一視野に入るが、8等級ほどと暗く観望には天体望遠鏡が必要だ。それでも、北極星がよい目印になり見つけやすくなるだろう。
また同じく27日ごろには、彗星の尾が濃く見やすくなる。これは、地球が彗星の軌道面を通過し、軌道面に広がったダストの平面を真横から見ることになるためだ(画像3枚目)。
画像1枚目では、過去に放出されたダストが「アンチテイル」(見かけ上、太陽方向に伸びる尾。参照:「天文の基礎知識:彗星の尾」)として細長く伸びた特異な姿としてとらえられている。
2度とやって来ない彗星に、あと一目別れを告げるチャンスだ。
レモン彗星(C/2012 F6)にも注目
彗星ファンにとってもう1つの注目は、明け方の東の空に見えているレモン彗星(C/2012 F6)だ。パンスターズ彗星と同じく今年3月上旬に近日点を通過し、4月末から再び日本の空に現われた。
5月上旬には7等前後で、彗星らしい淡い緑色の輝きを小口径の天体望遠鏡でも楽しむことができる。5月から6月にかけて、アンドロメダ座を通過していく。