タイタンの湖につながる地下プロセスに新仮説
【2014年9月2日 ESA】
地球以外の天体で唯一、液体の湖が見つかっている土星の衛星タイタン。その地中で起こる化学反応が、プロパンやエタンの湖を作っているかもしれない。
土星の衛星タイタンには、その北極周辺に多くの液体の湖があることが知られている。これらの湖がたたえているのは水ではなく、メタンやエタンに代表される炭化水素だ。こうした湖の供給源はメタンの雨が主と考えられているが、もう1つの供給源となりうる地下の循環プロセスについて、仏・フランシュコンテ大学のOlivier Mousisさんらが以下のような新たなモデルを作り上げた。
水の氷でできたタイタンの地表に降り注いだ炭化水素の雨が地下に貯まり、地中に広がると、水の結晶構造のすき間に炭化水素が入り込んだ「クラスレート(包摂化合物)」が作られる。このクラスレートがさらに炭化水素と反応し、プロパンやエタンといった別の炭化水素になる。これらの物質が表面に現われれば、プロパンやエタンの湖になるという。一方、炭化水素の雨が地表に貯まってできた湖なら、メタンや窒素が主な組成となる。
土星やタイタンの多くの謎を解き明かしてきた探査機「カッシーニ」は、2017年までに50回以上のタイタンへの接近観測が予定されている。湖の組成を詳しく調べ、このモデルと比較することで、地下で起こっていることが明らかになると期待される。
探査機の位置と航路
天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」では、「カッシーニ」をはじめ、主な探査機の航路や設定日時における位置を表示することができます。