株式会社アストロアーツは2021年6月24日をもちまして創立30周年を迎えることとなりました。これもひとえに当社製品をご愛顧いただいているユーザーの皆様や、さまざまなアドバイスやご支援を賜った業界各社の皆様、それに現場で精力的に製品を作り続けてくれたスタッフ各位のおかげであると心より感謝しております。
当社は1991年6月24日に東京都港区南青山で誕生いたしました。株式会社アスキー(今はもうない)の子会社として設立された当社は、その名の通り「天文(星を見る)の楽しさをソフトウェア等を通じて広く一般に知っていただく」ことを目的とした会社です。とはいえ、本当に「天文で飯が食えるようになるのか?」については、確たる保証もありませんでしたし、自信もありませんでした。とりあえず5年くらい頑張れればという気持ちでいたのですが……それから30年の歳月が流れました。
30年といえば、土星の公転周期より長いのです。会社を立ち上げた直後に遠征したハワイ皆既日食(残念ながら細くなった太陽はそのまま雲の向こうに)ツアーの時に、ワイキキの夜空で見た土星がやぎ座の三角形のすぐ近くに輝いていたのを憶えています。ハワイの好シーイング下で見た素晴らしい土星の姿は今も忘れられない思い出の一つです。そして今、黄道上を一回りしてきた土星が、再びやぎ座で輝いています。土星が太陽を一回りする時の流れに合わせるように当社の歴史が流れ、そして製品の数々が生み出されてきました。
ご存知のように、天文とコンピュータは切っても切れない関係にあります。液晶ディスプレイに表示された星図上から天体を選ぶと、接続された天体望遠鏡が自動的に指定された天体を導入し、さらにコンピュータからの指令で、接続されたカメラを制御し天体を撮像、得られたデータをパソコンに取り込んで画像処理する。この一連の作業の中で当社の天文用ソフトウェアが威力を発揮します。天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」、天体画像処理ソフト「ステライメージ」、天体自動撮像ソフト「ステラショット」を組み合わせて使用することで、一歩進んだ「星を見る、撮る楽しさ」が得られ、これまでにない星空観察体験が可能となります。
さて、日々加速する携帯デバイスにも、当社の星空アプリが対応しています。iOS用「iステラ」や「iステラ HD」、アンドロイド用「スマートステラ」は、端末内蔵の電子コンパスや傾き、加速度、GPSなどのセンサーを活用し、星空をCG表示するアプリです。また、新たに登場した「星空ナビ」(iOS用、Andoroid用)もまた起動して空にかざすだけで、最新のニュースから星空情報まで得ることができる、誰にでも使える便利で楽しい星空アプリとなっています。
初心者からマニアまで幅広いユーザーの方に毎月の天文現象の楽しみ方を提案する月刊天文誌「星ナビ」や、一年間の天文現象をビジュアルで解説した天文ムック「アストロガイド 星空年鑑」も当社の一般ユーザー向けの大切な製品です。
さらに、各種天文情報や当社製品に関するサポート情報等満載の「アストロアーツWEB」や、「オンラインショップ」など、ユーザーの方々に寄り添った各種サービスにも力を入れてまいりました。
また、当社では大型プラネタリウム「ステラドームプロ」の製作やプラネタリウム用番組コンテンツの制作も行っています。2006年に1号機を納入以来、国内外の多くの科学館、プラネタリウム館、さらには公私を問わずさまざなシーンでご活用いただいており、たくさんのお客様に星空を見る擬似体験をしていただいております。大きなプラネタリウムドームに投影されるデジタル映像は、投影機の進化につれ、より細密なものになってきております。今から30年前にディスプレイに表示されたステラナビゲータの映像を見ながら「これを、大きなドームに投影したいね」と語りあった夢の一つが今、全国100館に迫るプラネタリウムドームの中で叶えられています。
さて、30年間を振り返ってみると、やり残していることが沢山あります。それが、今の、そしてこれからの時代にマッチするかどうかはじっくりと検討してみなくてはいけませんが、これからも星を見る楽しさを伝えていける企業でありたいと考えております。これからも、当社製品をご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。
2021年6月吉日 株式会社アストロアーツ
代表取締役社長 大熊正美
30年の沿革
主なソフトウェアや書籍、OEM開発などを年表で振り返ります。
1990年
3月 |
「アストロガイド1990」(星空年鑑・ディスク付き書籍)を発売
(※株式会社アスキー 出版局 アストロアーツプロジェクトでの刊行) |
1991年
6月 |
東京都港区南青山で株式会社アストロアーツが始動 |
7月 |
「ステラナビゲータ for PC-9801 DOS版」(天文シミュレーションソフト)を発売 |
1993年
1995年
1996年
3月 |
「天文展示用ソフト」を全国科学博物館協会に納入 |
6月 |
「望遠鏡制御ソフト」を五藤光学研究所に納入 |
12月 |
有限会社エヌジーシー(スカイウオッチャー編集部)と合併 |
1997年
2月 |
立風書房から「月刊天文誌スカイウオッチャー」の編集制作を受託
「ステライメージ」(天体画像処理ソフト)を発売
「ヘール・ボップ彗星らくらく観測」(ディスク付き書籍)を発売 |
10月 |
オンラインショップを開始 |
1999年
3月 |
「ステラナビゲータ Ver.5 for Win」(天文シミュレーションソフト)を発売 |
4月 |
「すばる望遠鏡展 展示ソフト」を国立科学博物館に納入 |
7月 |
「ヨーロッパ~トルコ~イラン皆既日食」に、アストロアーツ/スカイウオッチャー協賛ツアー出発 |
2000年
2001年
3月 |
「VSOP観測スケジュール作成ソフト」を宇宙科学研究所に納入 |
11月 |
「しし座流星群」を群馬県からインターネットライブ中継 |
12月 |
「アストロガイド 星空年鑑」の2002年版(CD付きムック)を発売 |
2002年
2003年
6月 |
「火星大接近2003夏」(CD付きムック)を発売 |
8月 |
すばる望遠鏡画像解析ソフト「マカリ」を国立天文台と共同開発 |
12月 |
「移動天体検出ソフト」をNAL(現JAXA)と共同開発 |
2004年
2005年
2月 |
「平塚市博物館向けソーラープロジェクタ」を納品 |
8月 |
「火星くるくる」(火星シミュレーションソフト)をダウンロード販売開始 |
2006年
2月 |
「スペースガイド 宇宙年鑑」の2006年版を発売 |
3月 |
「VERA観測スケジュールソフト」を国立天文台に納入
「星座をさがそ」(携帯電話コンテンツ)をボーダフォンに納入 |
12月 |
「ステラドームプロ」(デジタルプラネタリウム)1号機を平塚市博物館に納入 |
2007年
9月 |
「国立天文台 フロント・歴史館 展示ソフトウェア」を国立天文台へ納品 |
11月 |
「望遠鏡星図表示プログラム」を仙台市天文台へ納品
「アストロガイド 星空年鑑」の2008年版を発売。この年からDVD付に |
2008年
1月 |
「DVDではじめる 天体観察入門」(DVD付きムック)を発売 |
3月 |
「ステラミニ」(デジタルプラネタリウム)を四日市市博物館プラネタリウムに納品 |
7月 |
「カーナビ用6軸センサ対応アプリケーション」をエディアに納品 |
10月 |
iPhone、iPod touch用アプリ「iステラ」を開発 |
2009年
3月 |
ニンテンドーDS「星空ナビ」を開発・発売 |
4月 |
「エクリプスナビゲータ Ver.2」(日食シミュレーションソフト)を発売
「皆既日食2009」(DVD付きムック)を角川グループパブリッシングより発売 |
7月 |
「中国~トカラ皆既日食」に、アストロアーツ/星ナビ協賛ツアー出発 |
2010年
3月 |
「月・惑星シミュレータ」(開発受託)をJAXA宇宙教育センターに納品 |
11月 |
ステラナビゲータ用追加恒星データ「USNO-A2.0」を発売 |
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年
2020年
2021年