デジタルカメラで天体写真を撮影するためには長時間の露光が必要になりますが、そこについてまわるのがダークノイズです。ダークノイズはデジタルカメラのセンサーデバイスに固有のノイズで、画素ごとに発生するする量が異なり、かつ時間と温度に比例するので、ライトフレームからダークフレームを引き算する「ダーク補正」をすることで、ノイズを減らす方法がとられています。
しかし、デジタル一眼レフカメラは、冷却CCDカメラと違って温度が一定に保たれないためにダークノイズがばらつき、ノイズをきれいに除去することが難しいものです。
特に強調などの画像処理を加えることでさらにノイズが目立つことも多いため、いかにノイズの少ない画像を作るかが美しい天体写真のカギとなります。
【図1】ダーク補正
そこで考えられたのが「ディザリング撮影」です。この方法は、1枚撮影するごとに構図を数ピクセルずらして撮影することでノイズの発生する画素の位置を変えて、結果的にノイズが平均化されて滑らかな画像が得られるというものです。実際には、撮影毎にガイドの位置をずらしながら撮影をしていきます。
「ステラショット」は、1.5dアップデータでディザリング撮影に対応しました。アップデータのダウンロードページでダウンロードしてご利用ください。
ステラショットでディザリング撮影を行うには、オートガイダーが必要です。ディザリング撮影を行う前に、オートガイダーを使って正しくガイド撮影ができることを確認してください。
ディザリング撮影機能を使う場合、右に示すオートガイドの「設定」ダイアログで、「ディザリングガイド」のチェックをONにしてください。ここで、1回あたりの移動ピクセル数を指定することができますが、3〜5ピクセルを指定するのが適切です。
この設定をしておけば、あとは従来通りにオートガイドをするだけで、1枚毎の撮影が終わるごとにガイドの位置をずらし、移動が終わると次の撮影をするような動作が繰り返されます。ステラショットのディザリングでは、視野移動のパターンを渦巻の形にずらしていきます。
【図2】オートガイド設定ダイアログ
ディザリング撮影をした5枚の画像を、位置合わせをせずにそのままコンポジットすると【図3】のようになり、規則的に星がずれているのがわかります。これは大きな画像の一部を拡大したものですが、クリックするとフルサイズの画像をごらんいただけます(以下同様)。
このようにして撮影した画像を、恒星を基準にして位置合わせをしながらコンポジットすることで、ノイズの少ない画像を得るのがディザリング撮影です。
ディザリング撮影やダーク補正の効果を示すため、まずはディザリング撮影やダーク補正をせず、普通に5枚の画像を撮影してコンポジットしたものを【図4】に示します。
画像を見てすぐにわかるように、さまざまな色のノイズが非常に目立っています。
ディザリング撮影した画像にダーク補正を行い、自動位置合わせをしたうえでコンポジットすると、【図5】に示すように格段にノイズが少なくなることがわかります。