新種のIax型“プチ超新星”
【2013年3月28日 ハーバード・スミソニアン天体物理学センター】
これまでに25個発見されている新種のIax型超新星。爆発前の天体はIa型と同様だが明るさははるかに暗いその爆発メカニズムについて、研究が進められている。
超新星のタイプは、おおまかに以下の2つに分けられている。
- 質量が太陽の10倍から100倍ほどある重い星が一生の最期に起こす爆発(重力崩壊型)
- 白色矮星(後述)がパートナーの星(伴星)から重力で物質を引き込み、一定の質量を超えることで起こす爆発(核爆発型。Ia型とも呼ばれる)
後者のタイプの超新星爆発を起こす白色矮星とは、太陽の数倍以下の質量を持つ恒星が進化した最後の姿だ。恒星の周囲に放出された外層ガスは惑星状星雲として輝いて見え、その中心に残る小さな高密度天体が白色矮星である。
最近の観測で、新種の超新星の存在が報告されている。「Iax型」と呼ばれるこの新種は、Ryan Foleyさん(ハーバード・スミソニアン天体物理学センター)によれば、いわば「プチ超新星」のようなものだという。Ia型と同じく白色矮星の爆発で起こるが、Ia型よりはるかに暗くエネルギーが小さい。多くの場合、爆発で白色矮星が完全に吹き飛んでしまうことはない。
Foleyさんらが見つけた25個のIax型超新星のうち、年老いた星が集まっている楕円銀河で見つかったものは1つもない。このことから、Iax型超新星は若い星系で起こるのかもしれないとも考えられている。
さまざまな観測データから、Iax型超新星爆発は、白色矮星の伴星が水素の外層を失ってヘリウム主体になっているような連星系で起こることがわかった。しかし、いったい何がIax型の超新星爆発の引き金になっているのかについては、以下の2説が考えられているものの、まだはっきりとはわかっていない。
- まず伴星のヘリウムの外層に火がつき、その衝撃波が白色矮星に伝わる
- 降り積もるヘリウムの影響で、白色矮星に先に火がつく
Foleyさんらは、Iax型超新星は決して珍しいものではなく、Ia型超新星の3分の1程度は存在すると見積もっている。ただ、明るさがIa型の100分の1しかないために見つかりにくいだけなのだ。