ハビタブルゾーンに位置する地球サイズの惑星
【2020年1月8日 NASA JPL】
2018年4月に打ち上げられたNASAの「TESS」は、太陽系の近くにある地球サイズの惑星を発見することを主な目的とする探査衛星である。TESSは系外惑星が主星の手前を通過する「トランジット現象」を観測し、恒星が減光する様子から惑星を発見してその性質を明らかにする。
米・ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのJoseph Rodriguezさんたちの研究チームはTESSの観測データから、かじき座の方向約100光年彼方にある13等級の恒星「TOI 700」の周りに、3つの惑星があることを発見した。
TOI 700は大きさと質量が太陽の4割ほどのM型矮星で、表面温度は約3500Kである。最も内側の惑星は10日周期で公転しており、地球とほぼ同サイズの岩石惑星とみられている。真ん中の惑星は公転周期が16日の、地球の2.6倍ほど大きいガス惑星のようだ。
そして今回の発見で最も興味深いのが、一番外側を公転している惑星「TOI 700 d」である。TOI 700 dは37日周期で公転する、地球の約1.2倍の大きさの岩石惑星とみられている。主星からの距離は約2400万km(太陽~地球の約1/6)で、これはこの星のハビタブルゾーン(惑星の表面に液体の水が存在可能な主星からの距離範囲)にあたる。ハビタブルゾーンに存在する地球サイズの惑星はこれまでにもTRAPPIST-1などいくつか発見されてきたが、TESSの観測による発見は今回が初めてだ。
「単にハビタブルゾーンに位置するというだけでなく、11か月間の観測中に主星のフレア(表面の爆発現象)が見られなかったことから、惑星TOI 700 dには生命に適した環境が存在しうると考えられます。また、惑星の大気と表面の状態に関するモデルの作成が容易になりました」(米・シカゴ大学 Emily Gilbertさん)。
これまでに得られているデータをもとに、研究者たちはTOI 700 dのモデルを20通り作り上げており、そのなかには海に覆われ濃い二酸化炭素の大気を持つような惑星も含まれる。TOI 700 dの実際の環境がどうであるかはまだわからないが、今後の観測で惑星に関する新たな情報が得られれば、どのモデルがより正しいのかがわかってくるだろう。「それがどんな惑星であれ、地球とはまったく異なるものでしょう。ワクワクします」(米・大学宇宙研究連合 Gabrielle Engelmann-Suissaさん)。
〈参照〉
- NASA JPL:NASA Planet Hunter Finds Earth-Size Habitable-Zone World
- NASA:NASA Planet Hunter Finds its 1st Earth-size Habitable-zone World
- The Astronomical Journal:論文
〈関連リンク〉
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