生まれたての巨大ガス惑星は落下の運命を避けられる
【2020年3月25日 東北大学】
1995年に太陽以外の恒星の周りを回る系外惑星が初めて見つかって以来、現在までに4000個以上の系外惑星が発見されている。これらの惑星は質量も軌道の形も様々だが、この統計結果をうまく説明できるような惑星の形成モデルを構築するのは容易ではない。とりわけ問題となっていたのが、木星や土星のようにガスを主成分とし、その木星を上回るほどの質量を持つ巨大ガス惑星の存在だ。
系外惑星は太陽系の惑星と同じように、恒星が誕生する際に周囲を取り巻くガスや塵からなる原始惑星系円盤の中で形成されると考えられている。円盤中の物質が集まって惑星となるのだが、残された物質はその惑星の回転を遅らせ、中心へ引きずり込むブレーキとなってしまう。そのため、木星よりも大きな質量のガス惑星は最終的に中心星へ落下してしまい、生き残ることができないのではないかと指摘されていた。
この謎に迫るため、東北大学の田中秀和さんたちの研究グループは、最新の数値流体計算に基づいて新たな理論モデルを構築した。従来はガスが集積する過程と惑星の落下は別々に研究されていたが、両者を同時に計算すると落下が抑制されることがわかった。ブレーキとなるはずのガスが惑星に取り込まれることで、ガス密度が低下して抵抗が減るからだ。
このモデルでは、木星の10倍以上も重い系外巨大ガス惑星も中心星へ落ちることなく形成できる。さらに、現実に観測されている様々な原始惑星系円盤の質量の分布から、これまで観測された巨大系外惑星の質量の分布を説明することもできた。
今回の研究では質量が地球の数百倍から数千倍もある巨大ガス惑星が対象となったが、この理論モデルをさらに発展させることで、生命が居住できる条件を備えた地球型惑星の誕生までも説明できるようになることが期待される。
〈参照〉
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